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読書の記録です。

「傷物語」

西尾維新/講談社

高校生・阿良々木暦は、ある日、血が凍るほど美しい金髪の吸血鬼と出遭ってしまった。『化物語』の前日譚が、ついにそのヴェールを脱ぐ。

化物語をけちょんけちょんにけなしていた記憶が蘇ります・・・。
吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと阿良々木くんの出会いを描いた前日譚。確か化物語の方では、吸血鬼さんは喋っていなかったと思うので、饒舌な彼女が全然イメージと違っていた。でも、結構天然でかわいかった。
阿良々木くんは、友達が1人もいなくて、もちろんモテてるはずもなく、前よりは好感度が上がりました。笑。羽川は、一体彼のどこを気に入って接触したのか、謎です・・・。パンツを見せるだけではなく、胸を揉ませてあげてもいいとまで来ましたからね。なぜだ!なぜ、そこまで、この男に入れ込むのか・・・!わからん・・・!忍野メメは、そのまんま~、でした。彼の少し突き放したようなところは好きです。が、500万って本気で請求してるのだろうか。もっと相手を見て価格設定をしたほうが良くないか。
吸血鬼とはいかなるものか、吸血鬼ハンターたちとの戦い、戦法。確かに、小説ですので、最低限の説明は必要です。しかし、大げさすぎる前口上はくどすぎて、勢いがそがれてしまう。これは、刀語でも書いたっけ。このへんは、ラノベを見習った方がいいんじゃないかと思います。
西尾さんの作品に、こんなケチをつけまくるようになるなんて・・・。西尾作品にどっぷり浸っていた時期が、とても遠い昔のように思えます。それくらい、テンションがあがらんわー。これは・・・、しばらく冷却時間を置いたほうがいいのかな・・・。


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「レンタルマギカ 魔法使いvs錬金術師!」

三田誠/角川書店

いつきのところへ先代社長の遺産が舞い込む。ところが錬金術師ユーダイクスが相続に異を唱え、“アストラル”に魔術決闘を挑んできた。穂波のケルト魔術は届かず、猫屋敷の陰陽道は星の槍に貫かれ、神道の絶対結界も突破された。果たしていつきたちの運命は!?

夏休み!のお話です。
行方不明で、戸籍上死亡扱いとなったいつきの父・伊庭司の遺産をめぐって、かつて父の片腕であったユーダイクスという魔法使いと決闘をすることに。ユーダイクスの使う魔法は、錬金術。アストラルの面々は、苦戦を強いられますが、魔法決闘<フューデ>の勝敗の行方は・・・。
どこの会社にも、古株やらお局さんやらがいて、仕事ができなくても長くいるというそれだけで、何やらすごい能力を持っているかのような空気をかもし出しているのです。もちろん、ほとんどの人は、能力も兼ね備えているわけですが!(フォロー)ユーダイクスももちろん後者の人間。彼が、伊庭司に並々ならぬ執着を持っているのは、彼もまた、ある意味司の子供であったからなんだなあと思った。けれど、彼が最後に気づいたように、残骸を追いかけていくという生き方ではなく、対等に生きてみせるという気概を持って欲しいな。同じように、ラピスも肩を並べて生きてゆける関係になって欲しいと思う。
最初に、アディが撃退された時は、意外に衝撃を受けまして。笑。後半で再登場したときも、意外にテンションがあがりまして。アディ派な自分を発見した気分でした。穂波は、過去アストラルとどんな接点があったのか、これから明かされるのが楽しみです。いつきの社長としての自覚が固まってきつつありますが、亡霊のようにつきまとう司の影。親なら、もうちょっと子供に迷惑かけないようにしなさいよー!





「少女七竃と七人の可愛そうな大人」

桜庭一樹/角川書店

川村七竈は、鉄道を愛する孤高の美しい17歳。親友の雪風とは、静かな友情で結ばれている。七竈は、奔放な恋に生き、すぐに旅に出る淫乱な母をもつが、可愛そうな7人の大人たちに巻き込まれて…。

人間、何度でも生まれ変われると言いますが、自分を変えるために、手当たり次第男性と関係を持つとは・・・。き、極端だなあ・・・。と呆気にとられて、物語は始まりました。
そして、七回竃で燃やして上質な炭となるように、生まれた子供は七竃と名付けられます。テストで時間をロスしそうな名前だ・・・。七竃は、とても美しく生まれ、成長するにつれ、その美しさはますます浮世離れしていきます。北海道の片隅では、生きにくいほどに。親友の雪風も、また、美しい顔をしていた。2人は、とても良く似ていた・・・。
世俗を超越した七竃、もといむくむくがとてもステキだった。ビショップとのコンビもぴったり!犬は素晴らしいですよう。七竃と雪風は、相思相愛だったのだろうか。2人の間に横たわるものは、恋とか愛という言葉では表現しきれないような気がする。別れもロマンチックです。時々帰省して、顔を合わせたら気まずいよね。笑。
七竃の母、優奈は母親であることよりも、女であることの方を選んだ人なのだなあと思った。それは、子供にとって不幸なことではあるが、罪ではない。それよりも、田中教諭が罪・・・。この人とも実は関係を持ってたんじゃないか、と私は邪推していたのだけれど、本当に好きな人とは結ばれなかったんだねえ。娼婦が唇だけは本当に好きな人にしか許さないというあれを思い出しまして、ある意味純愛ではないの・・・!と見直した直後。・・・た、田中教諭め・・・!欲情などしおってからに・・・!と台無しになった気分でした。七竃母は最後まで、好きな人は1人だったんだなあ。辻斬りになるのはごめんだけど、そういう一途さは良いと思う。最後は母がすべてさらっていったなあ。
作品に流れる雰囲気が、桜庭さんがこれまで読まれてきた本を反映しているような気がした。海外の文学作品を良く読まれているようなので・・・。哲学的で、噛んでも噛んでも味がわからぬ文字の羅列たち。


「裁判官の爆笑お言葉集」

長嶺超起/幻冬舎

裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけと思っていたら大間違い。1件でも多く判決を出すことが評価される世界で、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。

結論から申し上げますと、全く笑えなかった・・・。
お前は裁判官に何を求めておるのだ!と怒られそうですが。
世の中には、様々なマニアが存在しています。著者は、傍聴マニア(たぶん)で、これまで数多くの裁判を傍聴してきたようです。裁判官のファンになったり、裁判官にパーソナリティを見出しているあたり、すごいです。裁判官も人。いろいろ思うところがあるんだろうなーと思います。裁判に関しては、裁判員制度、死刑制度等、話題が尽きませんよね。私自身、過激な意見の持ち主なので、あまりおおっぴらに語れないのが残念でなりません。量刑って、悪しき観念です。「1人殺しただけでは死刑にならない」という話を誰しも聞いたことがあると思います。全体のバランスなんて知るかっ!と思いますよ、本当に。ええ。こんなことを考えるくらい、笑えなかったです。
裁判の傍聴、興味はあるんですけどね~。緊張感のあるところに行くと、お腹痛くなっちゃうリスクを犯してまで行く気力が無いというか・・・。また一つ、私のチキンっぷりを披露して終わりとさせていただきますです。


「工学部・水柿助教授の解脱」

森博嗣/幻冬舎

元助教授作家、突然の断筆・引退宣言の真相がここに。

いつの間にか、退職されていたんですね~。著名人のブログをこまめにチェックする習慣がないもんで、そういう事情には疎い・・・。ブログも去年いっぱいで終了され、今後、予定されている書籍は出版するけれども、インタビュー等ご本人の露出はせず、静かにフェイドアウトされる予定だそうで・・・。静かに消えていくのに、あらかじめ宣言しちゃっていいのかなあ~と思ったりしました。しかし、「俺は死ぬまで歌い続けるぜ!」とか作品が未完のまま急逝とかよりは、きれいな幕の引き方ですよね。さすが、作家家業をビジネスと割り切っておられるだけのことはあります。
と、いうようなことを匂わせる内容になっていました。この話自体、真実何割で構成されているのやら謎なんですがー。ま、大筋はこんなところなのかな?
水柿君は、売れっ子作家になってから、特に変わらない生活を送っていたそうです。収入は増えるけれども、お金を使い切ることができないんだそうだ。そして、新たにパスカルという犬が家族に加わります。夫妻が、パスカルを溺愛しているさまが微笑ましかった。特に、パスカルの肥満について、おやつを減らした方がいいとか、食べたいものを食べるのが犬の幸せだとか・・・。笑。うちでも似たような論争が繰り広げられておりますですよー。
自分のしたいように、自由に生きること。それも結局は、お金があってこそなんだなー、と何回も思ったわ・・・。笑。