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読書の記録です。

「セキガンのアクマ」

榊一郎/富士見書房

ネリンは気づいていた。トリスタン市の魔族災害は確実に減っている。それは良い事なのだ。しかし、何かを見落としている様な不安が脳裏を過ぎる。その頃街にいたレイオット達は、美術学校で彫刻を専攻する少女ノーラに出会う。

前作を読んだのが、ちょうど2年前だったようです。そりゃあ、色々と記憶も飛ぶってもんさ!・・・アルフレッドって誰だっけ・・・?とまあ、今作の核となるアル坊やを覚えていないひどい読者です。すいません。
一方、新キャラも登場しています。カペルさんと同種のマイペースオーラを醸し出しているノーラさん。類は友を呼ぶっていうか・・・。きっと2人は仲良くなれると思うよ!うん。
あとは、裏でちょいちょい暗躍している超越者の存在。コルグ老とギルバート・ギブスン組とロミリオ組とに分かれているみたいな感じ。ロミリオ組は、この世界を征服(滅ぼす?)しようとしていて、コルグ老組は、「いやいや、それは間違ってるんじゃないの~?」というスタンスのようですね。この、ギブスン青年も前に出てきていたみたいなんですが・・・。思い出せない・・・。
レイオットとカペルの関係も、今のまま・・・ではなく、最後に向けて変化していきそうな予感がします。なるべく、いい方向に変わってくれるといいんですけどねー。
冒頭の妊婦の大量生産が、最後にそうつながってくるか!というラスボスでした。あの、ポコポコ魔族が生まれてくる絶望感がいいですねえ。しかし、妊婦の生産には無理があると思うの・・・。排卵の周期って個人差がある上に、処置後、すぐ閉じ込めてしまうわけだよねえ。開けたら、妊娠してませんでしたーっていう結果の方が多いと思うんだけど~。リアルなつっこみはタブーと思いながらも、ついつい・・・。


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「DクラッカーズⅣ」

あざの耕平/富士見書房

カラオケボックスで奇妙な共同生活を続けながら、景たちはセルネットの本拠地を探していた。目的は、葛根市を混乱させている三人のBを、ひいてはその背後にいる“女王”をとめること。闘いの準備を進めながらも、梓は二度と景の側を離れないと決意する。

これまた、だいぶ前に読んだなあ・・・(遠い目)。
甲斐と景の陣営が一時的に手を組んだことで、セルネットはちょっと不利な流れに。まあ、もともとセルネットというかファーストセルの目的が「王国」の建国なので、目指すところが違うと言えば違うのか?そもそも王国ってなんぞや?という疑問があるわけですがー。今回は、「カプセル」についての種明かしがベルゼブブからなされています。あー、悪魔ですか、そうですか。そうだね、悪魔はなんでもできるもんね。
ベリアルが死んでしまい、残るBはバールとバジリスク。バールは人格が崩壊してしまったとは言っても、ベルゼブブ・ベリアル・女王と3人の人格を宿すのは大変そうだなあ・・・。彼らもいい年(20~23くらい?)なのだから、お遊びも大概にしときなさいよ、という気持ちになってしまいます。母の気持ち?葛根市限定というスケールの小ささも相変わらず。舞台がワールドワイドに広がればいいというわけではないのだ。(ネットが活用されていない感は否めないが)なんだか、主人公たちが立ち向かう壁が、あまりにも薄っぺらく見えてしまうのだ。こんだけ頭数揃えてるんだから、もっとぱーっとやればいいのに。なにカッコつけてんだか。
少年・少女向けの活劇では、大人は愚かで世界のことが見えていない。けれど、大人だってがんばっているんだ。世界は君たちのものではない。それこそ、ドラッグによる錯覚だ。
うーん、今回は辛口になってしまいました。あと3冊、クライマックスまで、どうやって私を盛り上げてくれるのか・・・。
Dクラシリーズは、どうやらご近所の本屋から撤去された模様・・・。時の流れは速いなあ。


「妃は船を沈める」

有栖川有栖/光文社

所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り篭に抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。

怪しい関係の2人・・・、いやいや、火村先生シリーズです。
車で海に飛び込み、1人の男性が死んだ。目撃者は多数いたが、車から飛び降りる人も、泳いでいく人もいなかったという。そして男には、多額の借金があった。彼にお金を貸していたのは、妻の友人で妃沙子という女性だった。妃沙子は、お金がなく身寄りの無い若い男性を家に集めることが楽しみだった。
まあ、タイトルからも想像できるのですが、犯人はこの有閑マダムなのですよ~。とあっさりネタバレをしているように見えて、本当のオドロキは他にあるざますよ!そのせいで、前半はみすみすとマダムを取り逃がす結果に終わったわけですが・・・。後半は、全く関係ない話かと思いきや、マダム再臨!しかも幸せオーラをまとっているときた・・・!せっかく掴んだ幸せを壊すのは忍びないけれど、過去の行いは自分に還ってくるということで。窓に銃弾を打ち込むくだりは、ご都合主義的な何かがありましたなー。どうでもいいけど、アリスのワトソンぶりが読んでて切ない。笑。
物語のキーポイントになる「猿の手」は読んだことがないのですが、ホラーテイストでおもしろそうだなあ。本の解釈を語りあうのって、すごいな~。私は、いつも的外れなことを考えているので、恥ずかしくって、人になんか言えないわ・・・。だから、ブログで感想なんて書いているのだけれど。
妃沙子さんの人物像があっさりしすぎていて、物足りなかったな~。もっと、憎悪と愛情が入り混じった感じがいいのにな~。でも、あの男の子たちに、愛も執着も無かったと考えれば少し納得いくかも?



「“文学少女”と穢名の天使」

野村美月/エンターブレイン

“文学少女”天野遠子が、何と突然の休部宣言!?そんな中、ひとりの少女が姿を消した。行方を追うななせと心葉の前に、やがて心葉自身の鏡写しのような、“天使”が姿を現す。

だいぶ前に読み終わっていたのさー。本が手元にあると思って油断していたら、こんなに後回しになっていました。
今回は、「オペラ座の怪人」がテーマ。オペラ座の怪人は、超有名なお話ですが、私が一番に思い浮かべるものは、「金田一少年の事件簿」だったりします。で、次は映画。意外に本には目がいきませんでした。そうか、ぶっといのか・・・。
ななせの気持ちが少し報われる巻。友達をあんな形で亡くしてしまったのだから、少しは良いことがないと!ななせさんは、私の中で赤丸急上昇中ですよ~。いつも、まっすぐ相手に気持ちをぶつけるところが、清々しい。
振り返ってみると、友達の夕歌さんは、かなり波乱万丈な人生だなあ、と思います。ななせさんはあんなにオクテなのに!笑。大人たちは、最後まで大人気なくて、私まで恥ずかしくなってしまいました。悔しいことに、才能というものは確かに存在していて、持たざる者は嫉妬の炎に身を焦がすしかないから。っていうのは、わかるんだけどね・・・。そして、思い込みから生まれた誤解ってやっかいだよな、と改めて思った。弁解する余地がないよなー。
遠子先輩は、相変わらず可愛らしく、シアワセでした・・・。そうよ、文学少女は耳年増なのよっ!笑。「本を一気食いしたい」なんて熱く語るのは、遠子先輩しかいないだろうなあ・・・。小説には強くても、勉強はイマイチな遠子先輩の受験は、どうなってしまうのでしょう?美羽さんの影よりも気になるところだ!メルアドを食べちゃったところは、切なくておもしろかった。「マッチョなサーファーが、恐山から海パン一枚で・・・」はナイス!心葉と遠子先輩の関係は、恋愛というよりは、兄妹みたいになってきました。遠子先輩の前だと、歪んだ感じの心葉も、かわいくなってしまいますから。
とうとう“文学少女”シリーズも完結してしまいました・・・。ラストまで、ゆっくりと楽しんで読んでいきたいと思います。


「ぼくは、知りたいのだろうか?
 たとえそれが、どんなに辛い真実でも?
 これまで以上の苦しみと絶望が降りかかってきて、二度と立てないほど打ち据えられることになっても?
 痛みに耐えきれず、狂ってしまっても?」



「阪急電車」

有川浩/幻冬舎

恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車。8駅から成る、片道わずか15分間の阪急電鉄今津線で、駅ごとに乗り降りする乗客の物語。

「図書館戦争」が、なかなか文庫落ちしない・・・。こうなったら、意地でも待ってやる・・・!
関西のそれも宝塚あたりと言えば、地元から近いんだけど~。私は、阪急よりJRを良く使うので、阪急沿線にはあんまり馴染みがないや。残念。
有川さんのラブコメは好きですが、今回は乗れなかった。私自身、高校時代の通学として、今も遊びに出る時とか電車は良く利用します。身近な素材なだけに、「あ・り・え・な・い!」という想いが勝ちましたねー。電車の中って、不可侵な領域があります、よね?だから、喋りかけるとか、それがきっかけでラブが生まれるなんて、もー、おかしいって思ってしまいます。
共感できたのは、大人の方がマナーが悪いなあ、というところ。特に携帯に関しては、大人(中でも中年くらい)の方がマナーが悪いと思います。現代は、いきなりナイフで刺されてもおかしくない時代ですから、恐くて注意できないんだよなあ。あとは、恋人を寝取られてしまった翔子さん。友達じゃないにしろ、自分が知っている人の恋人を奪い取る気持ちとは、一体どんなものなのだろう・・・?略奪愛モノを読むと、一番に感じることなんだよなあ。やっぱ、淡白なんだよなあ、私。
各章がリレー形式で、主人公だった人が、第三者から観察されている様子はおもしろかった。みんな前向きになれるところも良かった。
でも最後には、やっぱり、電車で人生変わるような出来事は起こらないよな、という結論に落ち着くのでした。