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読書の記録です。

「レンタルマギカ 魔法使い、貸します!」

三田誠/角川書店

魔法使い派遣会社アストラルの2代目社長に就任した伊庭いつきは、慣れない仕事に日々涙目。いつきのふがいなさを嘲笑う同業者は古代ソロモンの魔法「悪魔召喚」を使い、アストラルに挑戦状を叩きつけた。

これも刊行ペースが速いシリーズですよね~。気になってた時は、せいぜい5冊くらいだったのに・・・。先の楽しみが増えて、嬉しいといえば嬉しいんですけど。
主人公、伊庭いつきの父親が失踪してから7年が経ち、彼の父親は正式に死亡扱いになった。そのことにより、父親が実は魔法使い派遣会社の社長であったことが判明する。そしてさらに従業員から社長就任を迫られ、いつきは、なし崩しに2代目社長となり、そこから物語が始まります。
三田誠さんと言えば、「精獣戦争」を読みきれなかったという過去がある私。すごくとっつきにくかったんです。ちょっと心配しながらの読み始めだったのですが、これはとても読みやすかった!ケルト魔術に古代ソロモンの魔法、神道やら呪術のオンパレードなのですが、薀蓄に傾倒することもなく、適度に詳しいという感じでさらっと流せました。魔法と言えば、やはり夜。この魔法による現象が起こっている状態を、<夜>と呼ぶ設定が地味に気に入っています。笑。
ライトノベルにはお約束の女性陣。今のところ候補は3人・・・。正統派は、穂波だと思いつつも、アディリシアが一番好きです。かわいいのよー。古代ソロモン魔法って、強力だけど色々ややこしいというか。もっとぱっと使えたらいいのにー。と思ってしまいました。・・・ぱっと使えたらありがたみがあんまり無さそうだけど。
ともあれ、崖っぷち派遣会社<アストラル>の面々が、今後どのような事件に巻き込まれていくのか楽しみです。
猫は世界の至宝ですよねえ、本当に。


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「DクラッカーズⅢ」

あざの耕平/富士見書房

クリスマス・イヴの夜、セルネットと悪魔狩りのウィザードたる物部景は全面対決を果たした。それを切っ掛けに浮上した事実の数々。混迷する世界から景は消え去り、代って無慈悲な女王が姿を現す。

あとがきにもあるように、それぞれの決意を描いた第3巻。
景がクラッシュした後、女王は景に乗り移り、セルネットで執行細胞と行動を共にする。一方、梓は景を失い、自分の罪と向き合うことになる。
・・・と、前から「梓の罪」と名付けられている、一連の景いじめと置き去り事件ですが、私にはどうもしっくりこないのです。なんつーか、これを罪と呼ぶことなのかどうか・・・。別に、良くあることじゃん、とは思います。子供の世界で裏切り、寝返りなんてさ。笑。まあ、それで本人の気が済むならいいのかな。
一方、セルネットの上層部・執行細胞のメンバーが動き始めます。彼らの目的は、王国を建国すること。ん?動くと言っても、ベルゼゼブはいないし、バジリスクはまた空席になったし、実質動いているのはベリアルとバールだけ。しかし、2巻分彼らが息をひそめていた効果か、すごく動き始めた感があります。どのような意図を持って、カプセルを広めたのか。彼らが作りたい「王国」とはどのような状態を指すのか。「女王」と呼ばれる悪魔がそれにどのように関わってくるのか・・・。まだまだ謎は残っています。しかし、葛根市を出ることは無く、相も変わらず箱庭の中の出来事。小さいぜ。
まるまる1巻分、女王に体を乗っ取られていた主人公も復活し、4巻では景たちの巻き返しとなりそうです。そういえば、結局、景の目的もまだわからないやー。女子中学生トリオは、正直いらないような気もしますが、久美子が「もう明らかっしょ」と言う場面は好きです。そうだ、もっと言ってやれ!はっぱをかけてやれ!


「本格ミステリ07」

本格ミステリ作家クラブ編/講談社

今回は既読の作品が石持さんの「未来へ踏み出す足」一作でした。世の中、いろんなミステリが発表されているのだなあ、と感心します。
さてさて、簡単な感想を。
「熊王ジャック」(柳広司)は、殺人を熊の仕業に偽装するが・・・という話。前半の雰囲気のほうが印象に残っていて、肝心の思い出話はインパクトが無かったなー。結局、トリックは覚えているが犯人が思い出せない私。「裁判員法廷二〇〇九」(芦辺拓)は、裁判員制度が始まっている時代を想定して書かれた法廷モノ。映画のくだりは、ちょっと出来すぎかなあという気はしたけど、アリバイを崩す瞬間はやはりぞくぞくします。「願かけて」(泡坂妻夫)、お、覚えてない・・・。なんだ、一日一善というフレーズがあったような・・・?「想夫恋」(北村薫)。北村さんの作品を読むのは、実に5年ぶりくらいなのだけど、やはり甘い味付けを忘れない人なのだな、と思った。おそらくお人柄によるものなのだろうと思う。「福家警部補の災難」(大倉崇裕)。これは、次の単行本に収録される予定なのかしら?福家警部補モエ~。以上。「忠臣蔵の密室」(田中啓文)。おもしろい設定だった。もし、赤穂浪士が討ち入った時に、すでに吉良さんが殺されていたら・・・?というミステリ。NHKの大河ドラマの印象が強いので、どうしても大石さんがあの人の顔になってしまう・・・。しかし、ジョン・ディクスン・カーと密室殺人と符号をつなげるあたりのこじつけは好きになれなかったー。「紳士ならざる者の心理学」(柄刀一)。むー、予想通りの犯人とトリックだったのだけれど、当たったら当たったでつまらない。笑。「心あたりのある者は」(米澤穂信)。校内放送から推論を組みたてていくお話。可能性を示唆するところで終わったのが残念だなあ。結末とまではいかなくても、何かを匂わせて欲しかった。
感想を書くのが遅くなったので、記憶も薄れてゆき、なんとかしぼりだしてみた結果がこれです。ヒット作が無かったせいか、ぼんやりとした輪郭しか覚えていない作品がほとんど。


「ゾラ・一撃・さようなら」

森博嗣/集英社

孤独で気ままな探偵・頸城(くびき)の元に、タレントの法輪から「天使の演習」という芸術品を取り戻してほしい、という依頼が持ち込まれる。頸城は、「天使の演習」の在り処と、法輪の周囲に起きる不穏な事件の真相を探り、ゾラの殺人予告に立ち向かう。

ハードボイルド!
題名から、さっぱり内容を予測できなかったため、先入観というものを持たずに読んだにも関わらず、あんまりおもしろくなかったよう・・・。大人な雰囲気が全編に流れていて、登場人物がみんなスカしているというか。あんまり、好感が持てなかったなあ。ジョークの半分もおもしろいと思えなかった。いや、あれは楽しませる目的ではないのかもしれない。森作品には珍しく、登場人物のインパクトが小さかったんですよねー。もう、美人だけでは物足りないようです。笑。
本を執筆するフリをする、という嘘が、いつばれるのか、というところが気になるところでしたが、ばれませんでしたね。私は、この嘘がいつばれるのか、という心配が苦手なのです。要するに気が小さいんです・・・。
後半、一気に急展開。法輪を狙撃したのは誰なのか?一体どうやって?「天使の演習」は誰の手に渡ったのか?という謎が提示されます。残りページで解決できるのか?と思ったものですが、(推測の域は出ないけれども)ちゃんと解答は提示され、きれいにまとまっていました。しかし、ゾラが法輪と吉田を狙撃するに至った経緯、心情?みたいなものが無く、なんで今頃殺そうと思ったのかしら、という疑問はあります。
最後がまたハードボイルド風味だ・・・。彼女からの連絡を待っていたなんて、頸城くんも、かわいいところがあるじゃないか。


「七人の武器屋 ラストスパート・ビギナーズ!」

大楽絢太/富士見書房

究極すぎて開店できない新生エクス・ガリバーに、伝説中の伝説の聖剣が届けられて巻き起こる大騒動。マーガス、アンタが指名手配犯って、間違いだよな!?最年少オーナー・ケンジが心を燃やす第二部開始編。

ラノベの積み本が、えらいことになってきたので、そろそろ崩しにかかってます。でも、飽きたらやめるのさ。止まったら、「ああ、この子飽きたんだな」って、心中を察してあげて下さい。
さて、第2部開幕~。今回の主役はケンジ君。
エクスの再建は終わってるのに、なぜかライブウィンドウ・ブレイドに倉庫を借りて、広場で青空市を広げているケンジ。なぜなぜ?と思っていたら、建物自体が究極なために、その中で働く人が未熟だから入れないなんて!脱力・・・。そして笑ってしまった・・・。そして、第2部になって、メンバーを取り巻く状況が少しずつ変わってきて、武器屋に関わることが少なくなってるなあ、というところが気になりました。これ、最終的に店に残るのがケンジだけになるとか・・・?
どうやってマーガスが、聖剣エクスカリバーを手に入れることになったのか、謎に包まれていますが、聖剣をエクスに送った意図、そしてアトラを目指せというメッセージも謎です。ううむ。次巻以降が気になるところ。
ホリィの変貌っぷりにびっくりした。成長というより、変身だよあれは!
ケンジはケンジでおもしろくて好きだけど、やっぱりマーガスじゃないと、なんか物足りないんだよなあ。平凡っ子なのに、なんだこの存在感!笑。しかも、登場すらしないもんだから、余計寂しくなっちゃって。すごいマーガスが恋しかったです。次では、マーガスに一人称がチェンジされるのでしょうか?ケンジには悪いけど、チェンジ希望で!