「ばらばら死体の夜」 本 2013年05月13日 桜庭一樹/集英社四十過ぎの翻訳家、吉野解は貧乏学生の頃に下宿していた神保町の古書店「泪亭」の二階で謎の美女、白井沙漠と出会う。裕福な家庭に育った妻とは正反対の魅力に強く惹かれ、粗末な部屋で何度も体を重ねる。しかし、沙漠が解に借金を申し込んだことから「悲劇」の幕があがる・・・。桜庭さんの作品がだんだん肌に合わなくなってきて、読み続けるべきか、読まざるべきか、と思っていたところで読んだ本でした。手放しで大好き!とは言えないけれど、桜庭さんの本をまだ読んでみようと思わせてくれる本でした。結果的に読んで良かったなと。なんで否定的なニュアンスになっちゃうかというと・・・。まず、主人公2人がクセモノで、はっきり言って最低。女も男も自分勝手で、自業自得やんって感じなんです。でも、願わくば、殺されたのが解の方だったら良かったのに、と思ったのは同性への肩入れかな?事の始まりは、解が勝手に2階に押し入ったことにあるんだから、お金の無心をされたくらいでさーって思った。やることやってんだから、お金くらいなんとかしなさいよって。もっと納得いかなかったのは、犯罪が明るみに出なかったことで、これから先も彼が裁かれることはないだろう、ということです。現実はそうかもしれないけど、物語はフィクションだからここはひとつ彼にも罰を与えて欲しかった。そしたらちょっとはスッキリしたかもしれないのに。そうやって嫌悪しながらも、私は、砂漠のどこか退廃的な空気に惹かれていたのかもしれない。バカだけど憎めないっていうか。砂漠が殺される直前の描写にも惹き込まれた。そのあたりの雰囲気を受け入れることができたので、もう少し作品のチェックを続けていこう・・・と思ったのでした。最後に、人として一番共感したのは里子さんでした。笑。「あっ、もしかして今、いけないこと聞いちゃった(見ちゃった)?」っていう瞬間。誰にでもありますよね? PR
「ラブコメ今昔」 本 2013年05月12日 有川浩/角川書店乙女だっておっさんだってオタクだって人妻だって、恋がなければ生きてゆけない。ベタ甘ラブに耐性のない方お断り(もしくはこの機会に溺れてみる?)。の最強短編集。 超久しぶりに本の感想を書く!緊張する!最近、有川さん作品の映像化が重なってて、東野圭吾大先生に続く売れっ子さんになりましたね。とりあえず、「空飛ぶ広報室」(ドラマ)を見てみました。私、ガッキー大好きなもんで。・・・う~ん。悪くないんだけど、こう、先が読めるドラマって、何かインパクトが無いと視聴するモチベーションを維持するのが難しいんですよね~。「阪急電車」もいまいちだったな・・・とか思い出してしまいました。何であれ、原作と違う良さを出すのって難しい!とにかく、ガッキーはかわいいなあ(結局そこ。)。で、本です。自衛隊を舞台にした、短編のアンソロジー。恋愛小説、というには軽めのタッチで、「ラブコメ」という題名はぴったりだなあと思いました。著者の作品には甘酸っぱい爽やかな感じの恋愛小説が多いかな、という印象があります。色んなシチュエーションで、工夫されてはいるのですが、やはり土台が一緒なので途中で飽きてきてしまいました。さらに、残念ながら、きゅんと来るであろうセリフの数々が全くきゅんと来ない・・・。なぜだ・・・。私の中の乙女回路はもう役立たずなのか・・・。涙。千尋ちゃんの押しの強さはおもしろかったです。ぐいぐい。そんなわけで、物語には乗れませんでしたが、すらすらっと読めました。
「レンタルマギカ 魔法使いの宿命!」 本 2012年01月21日 三田誠/角川書店魔法使いとは、かくも残酷な存在なのか!?“アストラル”の天才陰陽師・猫屋敷蓮は、かつて苦楽を共にした弟弟子の圭から魔術決闘を叩きつけられる。短編集・第2弾!去年の7月からほったらかしになっていた感想。ライトノベルも積みあがっていて、何とも心苦しい状態。むむむ。こちらは、長編2巻と3巻の間のお話になっているようです。個人的に短編集は「短編シリーズ」として分けて欲しい派で、順番に読んでいくうえで短編集が挟まるのはいただけない・・・。自分の気分の問題なのですが。まあ、内容は個々にクローズアップしていて、長編を読んでいくうえでの補足となっているので、結果オーライ?「魔法使いと夏の海」前回知り合った女性神主の鎬さんから、船魂をもとの神社に戻して欲しいという依頼があったそう。慰安旅行と依頼をかねて海へとやってきたいつきたち。今回、アディと穂波はケンカの果てにダブルノックアウト。で、パートナーはまなみとなりました。まなみはかわいくていい子なんだけど、いつき争奪レースでは弱いんだよなあ・・・(えらそう)。猫屋敷さんのふんどし・・・。結構似合うんじゃないかなー。「魔法使いと学校の怪談」穂波とアディが8歳の時、イギリスでのイニシエーションの話。いつもケンカばかりだけど、お互いに一番の良き理解者であり良きライバル。そのきっかけとなった出来事です。いつきが登場してからは、これに恋のライバルも加わったことになるのかな。三角関係がこじれると、親友でも仲違いすることがあるけど、この2人はずっとこの関係を保って欲しいなあと思います。口絵の小アディがかわいすぎる!「魔法使いと星祭り」猫屋敷さんと弟弟子の対決!いつもひょうひょうとしている猫屋敷さんですが、実は天才ですごい人。この弟弟子の石動圭は、この後の物語にもからんできます。ここでは猫屋敷さんに歯が立たなくて、いいとこ無しでしたが、次ではなかなかやってくれるんですよー。くだぎつねで、ゲームの“大神”を連想しちゃった・・・。あいつもなかなか手強かった・・・。社長、今回もなかなかいい仕事をしてます!
「放課後探偵団」 本 2012年01月09日 /東京創元社ミステリ界の新たな潮流を予感させる新世代の気鋭五人が描く、学園探偵たちの活躍譚。学生だったあの頃から何年たっても、学園モノはおもしろいです。授業の雰囲気とか、行事のあれこれは忘れちゃったりしてますけど。願わくば、これから先も若者が主人公の本も楽しめる自分でありたいです。青春なだけに、殺人とかそういう血なまぐさい話はありません。読後感はどれも良好。「お届け先には不思議を添えて」(似鳥鶏)ミノ、またあんたか・・・。という感想しか出てこないというか。種明かしは確かに・・・。という感じでしたが、改めて読み返すとこんがらがってきた。阻止したい気持ちはわかる。何せ結婚式ですから。「ボールがない」(鵜林伸也)最初は、えんえんボールを部員が探していて、いい加減飽きたな・・・。と思っていたら、最後にまさかのラブ注入でびっくりしました。ボールの出所よりもオチにびっくりしたというか。「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」(相沢沙呼)学生時代、ドキドキバレンタインというイベントを通過していないせいか、学校での受け渡しとかそういうシチュエーション自体ピンと来ない自分に絶望した・・・。ミンナ、シアワセソウデ、ヨカッタネー(棒読み)。「横槍ワイン」(市井豊)こちらは大学生が主役。謎解きは、これが一番うーん・・・となったかなあ。まず聞き間違いもあり得ないと思いましたが、その後の行動もちょっと・・・。そんなことするかなあ?もはや乙女ではない私には、わからないの心理なのかしらん。お酒、大学時代のほうがよく飲んでたなあ。今は飲めないや。「スプリング・ハズ・カム」(梓崎優)決してハッピーエンドではないけれども、すがすがしい読後感でした。個人的に、あまり好きではないネタ(叙述トリック的なところがある)ですが、最後の情景が美しかったのでチャラになったかなという感じ。私も中学校卒業する時に、タイムカプセル埋めたけど大体何書いたか覚えてるので、もう掘り返さなくていいや・・・。
「アイディ。」 本 2012年01月07日 坂本真綾/星海社児童劇団、初恋、音楽、舞台、そして、『from everywhere.』ヘとつながるひとり旅の記録─。紡がれた言葉のひと粒ひと粒までが瑞々しくきらめく、珠玉の一冊。エッセイ本つながり。大学時代、友人の家で真綾さんの曲を聴いたのが始まりだった。それから、新譜はチェックするようにしています。レンタルだけど・・・(小声)。流行のポップスとは違う、けれどアニメアニメした世界感とも違うサウンド、歌詞、歌声の虜になりました。管野よう子さんの手を離れても、真綾ワールドは崩壊することなく今もステキな音楽を私たちのもとに届けてくれているのです。聞いたことが無い方は、ぜひ一度CDを借りてみて下さい。どれでも大丈夫!さて、エッセイの方ですが、ネットでアップした記事をまとめたもの+αという感じ?子役時代の話から、レ・ミゼラブル、海外でのホームステイのお話などでした。ミュージカル出演は知っていたのですが、こんなに長い期間出演されていたとは知りませんでした。1回くらい見に行けばよかったな~と後悔しました。アルバムについては、曲のイメージやこの時こんなことを思っていた、という話が曲とともに思い出されて改めて歌の良さを感じることができました。真綾さんのプライベートな一面を見ることができます。バレンタインデーの本命チョコ事件や、チャイ語試験忘れてショッピングしてたよ事件が印象に残っていて(笑)、うっかり屋さんな真綾さんもかわいい・・・。真綾さんの軽快な語り口で、おもしろくすいすい読めましたが、ところどころ深いなあ~と思う部分もありました。私、真綾さんと同年代なのですが、こんないろんな経験もしてないし、薄っぺらいぜ自分・・・。とちょっと落ち込みました・・・。まあ、私の話はどうでもいいんだ・・・。真綾さんは、もっといろんな経験をされて、それを糧として、これからも素晴らしい音楽を作りつづけていくのだと思います。ますますのご活躍を楽しみにしております!「ループする世界。 終わりがないという、救いと厳しさ。 どこまでいっても自分は自分であるという、喜びといらだち。 怖気づくこともあるけれど、きっと大丈夫。波は荒れたり、穏やかだったり、いろいろな表情を見せるけれど、ふと風が止まる瞬間が訪れる。そしてもういちどこの美しい世界を信じる勇気をくれる。 何度でも、何度でも。」