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読書の記録です。

「こめぐら」

倉知淳/東京創元社

密やかなオフ会で発生した謎。男たちが真剣に探し求めるのは、とんでもないものの鍵だった!?キツネさん殺害事件の容疑者は当然ながら(?)どうぶつばかり。“非本格推理童話”の結末は?

「なぎなた」の姉妹編短編集。コミカル系です。私はこちらの方が好みかな~。お馬鹿ネタは、モノによりますが、これはおもしろかったので・・・。
「Aカップの男たち」ストレートな題名なのに、まったくこの可能性を思いつかなかった!女性がボクサータイプの下着を着けるように、男性だってブラをしたっていいじゃないか・・・とは思えない・・・。おじさんたちのブラ描写が細かすぎて(本当にしつこい。笑。)、カギのオチが印象に残っていない・・・。「鍵」というお題目をもらって、この話を生み出した倉知さんは本当にすごい。
「「真犯人を探せ(仮題)」ラジオドラマ形式。犯人当ての方の謎解きは、これが本当にラジオドラマだったら怒ってるな・・・っていうぐらいひどい。笑。だから、最後には納得だったんですが。
「さむらい探偵血風録 風雲立志編」メタ!久しぶりにメタミステリを読んだような。久しぶりなせいか、特に反感を覚えることもなく・・・。どちらかというと、役者の描写のしつこさが気になったというか。
「遍在」これは、最後のオチでびっくりした!本当にびっくりしたので、もう一度最初の方に戻って確認してしまいました。確かに時代を特定するようなものは無いといえば無い・・・。しかし、古代においても、こんな俗っぽいことをしていたとは思いたくないよう。こういう馬鹿馬鹿しさは好きなんですけどねー。
「どうぶつの森殺人(獣?)事件」動物を擬人化してミステリー。この設定自体が土台無理な話なので、各所で力技が発揮されています。まあ、こういうお約束なんでよろしくって感じで。これは魔法の言葉だ!笑。これも、散々アリバイに時間を費やして、最後はそれかよ~という謎解きでした。脱力はしましたが、ただ動物を使うだけでなく、特徴を盛り込んだ推理と謎解き、私は結構好きです。しかし、ミステリーランドでこれを書いていたら、作家生命終わってたのでは?笑。やめといて正解でしたね・・・。
「毒と饗宴の殺人」ふっさり前髪の猫丸先輩に久しぶりに会えました~。自分がアラサーになって、改めて猫丸先輩のヤバさに気付きますね・・・。ウサギのぬいぐるみを抱きかかえる(しかも大事そうに)30男。・・・。・・・友達に1人いるとおもしろいかも・・・?自分だけ毒入りドリンクを飲まないトリックって、なんだろなんだろと思っていたら、確率やらゲン担ぎやらもっともらしく語っているけれども、それは要するに、気持ちの問題だよね!?もっと言えば、自分の運試しに明らかに腐ったカキを食べるかなー?ちょっと物足りなかったけど、猫丸先輩が楽しそうだったので良しとしましょう・・・。
倉知さん・・・、おやすみなさいって(以下略)。
とにかく何でもいいので、何か出して下さいね!


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「図書館危機」

有川浩/角川GP

王子様、ついに発覚!山猿ヒロイン大混乱!玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・反則殺法!そしてそして、山猿ヒロイン故郷へ帰る!?そこで郁を待ち受けていたものは!?

ついに別冊まで文庫化しましたか・・・。あんなに待っていたのに・・・。というちょっと恨みのこもった目で新刊の棚を見つめてしまいます。こういうのは、タイミングを逃すともう買えませんね・・・定価では・・・。
さて、読了から大分時間がたってしまいましたー。脳みそを振り絞っております・・・。毎度のことながら、感想を書くタイミングも逃すと大変。
郁の絶叫でシメだった前回からの続き。王子様じゃない、堂上が好きなんだと気付く郁。一方、堂上も郁が気になって仕方ない。なんだ、もう最初から両思いじゃないかよ、あたしゃやってられないよ、ちくしょー!とやさぐれたくもなるラブコメっぷりでした。これが自分の目の前で展開されたら、もう、我慢できない!微笑ましく見守っている隊のみなさんは、本当に忍耐強いと思う・・・。
あとはー、茨城図書隊の女子事情がエグかったかなあ。私は女で一番イヤだなあと思うのが、この陰湿さ。なるべく根には持たないように、と思っていても、結構前にされた嫌なこととか良く覚えていて、我ながらイヤになります。同じ職場で足の引っ張り合いをする前に、組織の目的の達成を目指し、仲間として助け合って働きたい。私はいつもそう思って仕事をしてるのだけど、うまくいかないよねえ・・・って、すごくブルーになりました。
禁止用語についての話も印象的でした。普段考えたことなかったので・・・。自分の国の言葉をもっと知らなければならないなあと思いました。でも、何で床屋がダメなのかな?特定の身体的特徴・障害を指す明らかな差別用語が禁止されるのは納得ですが・・・。セクハラと同じで、相手が差別的な呼称だと思ったら、その時点で禁止用語なのかな。
今回はドンパチやってます。毎回、戦闘のシーンを読むと血が騒ぐというよりは、悲しくなってしまいます。双方、本を愛する者同士、本当は本を傷つけることなどしたくないはず。図書館は戦う場所ではないよなあと実感します。
次は最終巻。夏のあいだに読みたいな~。


「なぎなた」

倉知淳/東京創元社

完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく、“死神”を思わせる風貌の警部。米大統領選挙の熱狂の最中、勃発したひとつの殺人事件。たくらみに満ちたミステリ・ワールド。

ミステリーを読みたい、とにかく読みたいモードに突入。
こちらは、寡作で知られる倉知さんの新刊!しかも2冊同時刊行!これは買うしか・・・!と意気込んで買ったものの、すぐに図書館に並んでいるのを見てガッカリ。そんなに人気無いのかなあ・・・。
シリアス系とコミカル系があるそうで、どっちがどっちか知らなかったんですが、表紙が好みの方から読むことにしました。こっちはシリアス系だったようです。猫丸先輩に馴染みがあるので、ちょっと新鮮な感じ~。
「運命の銀輪」スタンダードなミステリー。コロンボタイプのミステリーは、犯人がどのポイントでボロを出すかという点がキモだと思います。まさかの暗記力に足元をすくわれるとは・・・。死神警部、優秀かもしれませんが、職場では浮いてそうですよねえ。
「見られていたもの」注意書きが?。別に気分は悪くならなかったです。なんか、ものすごいことが起こるのかと思ってました。こう、平山夢明さん級のすごいのが。笑。男性パートは余分っていうか・・・。あ、でもこれがないと、本格ミステリにならないのか・・・。
「眠り猫、眠れ」猫愛にあふれた一編。もうね、あたしゃ、こういう動物ものに弱いんだよう。泣かせてくれるなよう。ミステリーというよりは、しっとりした親子愛。猫愛。つまるところ、すべての物語は愛なのです。
「ナイフの三」実はシリーズものの予定だったと聞くと、あの女の子の正体が俄然気になってきます。実はいいとこのお嬢様とか。真犯人はそっちのけ(笑)で、とにかく目の前の謎が解ければオッケー。というスタンスが倉知さんだなあと嬉しくなりました。
「猫と死の街」こちらも真犯人そっちのけパターン。笑。そう、「ねこちやん」さえ無事なら何でもいいやと思った私も、かなり猫愛に影響されてますな。ピラフって命名したセンスが素敵すぎる。
「闇ニ笑フ」ざっと感想サイトを見た限り、一番人気がこちら。私の感想はというと・・・、美人はやっぱり得だなあと思いました。まる。・・・は冗談として!ラスト一行でのどんでん返しは、うまく決まると美しいですよね!実写のミステリーではこの種類の美しさにはあまりお目にかかれないような。ぱっと思いつくのは「ユージュアル・サスペクツ」(映画)くらいかなあ。
「幻の銃弾」翻訳モノという設定で書かれたという背景もあって、いつもの倉知作品とは雰囲気がだいぶ異なります。銃声がしたのに、銃創も銃弾もみつからず、死因は全身をくまなく踏まれたこと。謎はとてもおもしろく、わくわくして読みましたが、最後にやたらとエンゼルホッパーがキザでうっとうしかった。笑。エンゼルホッパーのくせに!
あとがきで、本格ミステリの入門編を書くという使命感を持っている・・・というようなことが書いてありました。私は、大学生の時に倉知さんと井上夢人さんの本を読んでミステリーの世界へ足を踏み入れました。倉知さんのその心意気のおかげで、たくさんのおもしろい本に出会えたのだなあと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
倉知さん・・・、おやすみなさいって言いながら、永眠しないで下さいね!次の新刊、お待ちしてます!


「レンタルマギカ 竜と魔法使い」

三田誠/角川書店

強すぎるいつきの“妖精眼”の力に“協会”は禁忌の力という疑いをかけ、監視役フィンを派遣する。時期を同じくして、地中深くに封印されていた最強の魔法生物が覚醒を始める。

続きまして、長編です。長編は3本目!
社長が失踪してから、休業状態だったアストラルも、最近の活動を受けて協会から注目されるようになります。特に、いつきの<妖精眼>は禁忌を犯している疑いがあることに。ここで、影崎さんから担当がフィンという青年(少年?)にチェンジ。
フィンはかつて魔術学校で穂波と一緒にケルト魔術の研究をしていた人。そして、今回穂波をかどかわす黒幕であります。フィンも実は<妖精眼>の持ち主で、普段はマジックアイテムのコンタクトで隠していたんですなー。挿絵を見る限り、いつきの<妖精眼>は、コンタクトでどうこうできるものではなさそうなんだけど。笑。幽霊屋敷で竜と遭遇してから、別の何かが棲みついた?せいなのかな?今後も、物語に絡んできそうな人ですね、はい。
穂波がどうして、ケルト魔術を志したかというと、すべてはいつきの<妖精眼>を治すためだったんですね。いつきを幽霊屋敷に連れていったりしなければ・・・という後悔をずっと抱えてきた。幼なじみだったことも、伝えられずにいた。だけど、いつきは穂波だけが悪いのではなく、一緒に背負うものだとそう諭します。・・・天性の女殺しだね、アンタ・・・。
今回、猫屋敷さんの先輩である、アストラルの契約社員・隻連さんが登場します。密教と体術を組み合わせた肉体派!私好みのタイプではないですか!これで、「~でござるよ」しゃべりじゃなかったら、もっと良いのに~。
いつきを巡る恋模様は、まだ動きを見せないけれど、たぶん穂波が有力かなあと思います。私はアディさんがイチオシ!穂波も一本筋の通った関西弁少女で、萌えポイントはあるのですが・・・。やはり、若くしてゲーティアの首領となったアディの覚悟とか、きりっとしたところがカッコいいなあと思うのです。頑張って欲しいなー。いつきは、草食系と言うよりは、最近良く聞くクリーミー系男子っぽいなあ。子犬キャラ・・・。


「ううううう、猫は天国、この世は地獄。願わくば、このまま毛皮に包まれて締め切りのない国へ行きたい・・・。猫大明神さま、猫大王さま、その温かく柔らかく崇高な肉球でどうぞ私を迎え入れて下さい・・・・・・」
今回の猫屋敷さんによる猫賛美。



「レンタルマギカ 魔法使い、集う!」

三田誠/角川書店

魔法使い派遣会社「アストラル」に舞い込む依頼はさまざま。今日はどんな依頼者が訪れる?アストラルの日常を描いた短編集その1。

今度はこのシリーズに白羽の矢を立てましたぜ。pakoさんのイラストが好きなんです~。これもかなりの長編シリーズ・・・。
短編は、「ザ・スニーカー」に掲載されたものをまとめたもの。この巻のお話は、時系列で長編1巻と2巻の間に当たるそうです。そういえば、黒羽さんはいつの間に登場したのかと思っていたような・・・。ここでか!
「魔法使い、貸します!」1巻でケガをしたいつきが入院した病院での話。学校と病院に怪談はつきもの?ソウル・イーターが暴走して、それを退治。黒羽さんをアストラルに勧誘。なぜ、いつきはこんなにもモテるのだ!?あと、おばさんとはいえ、男女が同じ病室になることはまずありえないと思うのですが・・・。
「魔法使いと花泥棒」冬中夏草のお話。卸しの業者さん登場です。マジックアイテムの植物といえば、マンドラゴラを思い出しますねえ・・・。ハリー・ポッターの影響かしら・・・。実際に菌が寄生するのは、人間ではなく昆虫だそうです。<妖精眼>ってこんなにしょっちゅう使って大丈夫なのかなあ?と心配しちゃいました。結局、4話中3話で眼帯とってますよねー。
「魔法使いと夏祭り」みかんのお仕事。神道関係ということで、日本の神話が関わってきます。みかんの実家は、色々わけありのようで、今後もちょこちょこ出てくるのかな?前から思ってたんですが、ショート丈の浴衣が、もはや浴衣ではないように、丈の短い巫女服も、もう巫女服と呼ばないのでは・・・。巫女服にランドセルという取り合わせに、一体何人のマニアが喜んでいるのか?少し興味があります。
「魔法使いと肖像画」こちらは、アディと猫屋敷さん。ある肖像画が怨波汚染を引き起こしているという仕事に、アストラルとゲーティアが入札をして・・・。という話。絵を見たものは自殺をする、という今では怪談のような話。けれど当時(戦中?)は、自ら死ぬこともできず苦しんでいた人々もいて、彼らにとっては助けになっていた。その時代の必要悪だったということですね。私は猫屋敷さんが好きなので、活躍していようがいなかろうが、猫屋敷さんがからんでいれば、それで満足でございます。エサの量は減っても、グレードが落ちなくて良かったね。笑。