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読書の記録です。

「シアター!2」

有川浩/アスキー・メディアワークス

劇団・シアターフラッグの主宰の春川巧は、兄の司から300万円を借りるが、その条件は借金の返済ができなければ、劇団は解散することになるというものだった。借金を完済を目指して、劇団の奮闘は続く!

劇団の経営再建、おもしろいのかな?と半信半疑だったため、なかなか手がのびませんでした。図書館で見つけてなかったら、たぶん読んでなかったと思う。
私は観劇をしない人でして・・・。演劇、おもしろそうだなあとは思うのですが、チケットとるのも劇場へ行くのもめんどい・・・と思っているうちに、ここまできてしまいました。そんな知らない劇団の内側。へえー、ふーん、という感じでおもしろかったです!1巻目より、2巻目の劇団員を個々にクローズアップした構成が良かった。特に、スズと茅原の関係はおもしろい。茅原と小宮山が頭の中で混じってたんですが、ちゃんと分裂しました。笑。
1巻の終わりからは想像していなかったスピードで借金返済が進んで驚いた。3巻で終わる予定とのことで、この分だとちゃんと返済してなおかつ存続、というストーリーが有力ですね。裏を読んで、借金完済したけど劇団を解散して各々の道を歩みますという筋も捨てがたい!
恋愛関係も少し進展。巧はもっとあっさり牧子をふっちゃうのかな~と思っていたのに、意外に前向きに考えてて、これは巧と牧子のカップリングもあるかな?と思いました。で、司と千歳がくっつく・・・?むむ、あとはゆかりと小宮山・・・?どれもまだ予測がつきません!スズと茅原は個人的に今の距離感がベストだと思うので除外。笑。
次はどれくらいあとに出版されるのかわかりませんが、有川さんはシリーズを完結させてくれるだろう安心感があるので、のんびり続きを待ちたいと思います。
まだ読んでないそこのアナタは、今のうちに読んじゃうといいと思うよ!


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「パラドックス13」

東野圭吾/毎日新聞社

13時13分からの13秒間、地球は“P-13現象”に襲われるという。その瞬間、目前に想像を絶する過酷な世界が出現した。なぜ我々だけがここにいるのか。生き延びるにはどうしたらいいのか。いまこの世界の数学的矛盾を読み解かなければならない。

SFと東野さん、意外な組み合わせ・・・。
30ページを超えたあたりで、頭の中にもやもやっと展開が浮かんだので、続きを読まないでおこうかと思ったのですが(だって450ページくらいあったし)、いやいや、本は最後までわからないしな・・・と気をとりなおして読みました。頑張ったけれど、そんなにびっくりするオチもありませんでした。残念。
サバイバルで極限状態、という設定はありふれたものですが、なんとなく「漂流教室」が一番近いかなーと思います。「漂流教室」の方が何倍もコワイけど・・・。
主人公の久我兄弟が好きになれなくて、話に乗れなかった。お兄ちゃんは、警視庁のエリート警視で、どんな状況にあっても冷静で客観的な視点を崩さない人。サイボーグみたいである意味一番怖かった。その後、新しい世界の創造という建前でもって、子供を作る話を提案してみたり、人数が少なくなると生存の確率が下がるという建前でもって、死ぬのに反対してみたり。自分のエゴを持ち出すのに、いちいち建前を持ってくるところが気持ち悪かった。結局あれでしょ?菜々美さんが好きなんでしょ?そいで自分は死にたくないし、一人だと寂しいから一緒に生きて欲しいんでしょ?で、あわよくば子作りもしたいんでしょ?・・・と意地悪な見方しかできない私・・・。
・・・弟くんは言わずもがな、というところ。そもそも兄ちゃんが死んだのは彼のせいだし、現世に戻ってきてちょっとは反省したのかと思いきや、ラストは病院で女子高生にトキめいて終わりって!兄弟愛はどこに!?
三ヶ月の乳幼児ってミルクやっておしめかえてりゃいいってもんでもないだろうに。この赤ちゃんの生命力はハンパないな!
ヒューマンドラマがテーマなのかなーと思いましたが、その辺については何も感じませんでした。極限状態なのに、みんなお行儀良すぎ。恋愛に関しても、毎度のことながら淡白すぎる。笑。



「ジグβは神ですか」

森博嗣/講談社

芸術家たちが自給自足の生活を営む宗教施設・美之里。夏休みを利用しそこを訪れた加部谷恵美たちは、調査のため足を運んでいた旧知の探偵と再会を果たす。そんななか、芸術家の一人が全裸で棺に入れられ、ラッピングを施された状態で殺されているのが発見される。

時代小説を書いてる場合じゃないですよっ!そろそろシリーズを完結させるべきでは・・・?
目薬の話から年月が経過し、加部谷も卒業して社会人に。愉快な仲間たちも、それぞれの道を歩んでいます。夏休みに久しぶりに再開した加部谷、雨宮、山吹の3人が過ごすキャンプ場が併設されている芸術村で殺人事件が起こって・・・という話。事件の背後には、真賀田博士の組織がちらりちらりと見え隠れ。でも、結局進展はありませんでした。一体、この話で何がしたかったん?という気もする。クラゲ君、変な人だなあ・・・と再確認しただけだったような。
紅子さんと佐々木のおばさまが初めての面会をしていました。ある意味親同士の顔合わせ。やっぱり萌絵さんと犀川ティーチャーは結婚しているか、それに限りなく近い状態ですね。この2人も、この関係が落ち着きどころでしょうか。
なんか、紅子さんの話の部分を読んで、真賀田博士についてどのような決着がつくと、自分はスッキリするのかなあー。この話がどう落ち着いたらいいと思うかなー。と自分的ハッピーエンドを考えてみたのですが、あんまり思い浮かばない・・・。シリーズに対する関心が薄れてきています。完結するころには、「ああ、あれ、やっと終わったの?まあ、読まなくてもいいや・・・。」とか言ってそうだな、自分。


「セザイマルさんって、誰ぇ。人間の名前?漁船じゃなくて?」
確かに、漁船の方がしっくりくる。笑。


「身の上話」

佐藤正午/光文社

とある小さな町の書店で働くミチルは、浮気相手の編集者を見送るつもりが、衝動的に一緒に東京まで出てきてしまう。帰りそびれているうちに、同僚に頼まれて買った宝くじが高額当選していることが判明する・・・。

裏表紙のミチルのうつろな目がコワイ・・・。
NHKよるドラの「書店員ミチルの身の上話」を見たのがきっかけでした。おもしろかったので原作を読みたいな、と。最後の終わり方が、あれっ?って感じだったので、原作ではどうなっているのかな・・・、というのもありつつ。
原作の竹井は、ドラマの竹井よりお金に執着していたような気がする。ドラマ版竹井は、ミチルのことが好きでお金のことはオマケ程度という印象だったのですが、小説版竹井は、もちろんミチルのことも好きだけど、あわよくばミチルをコントロールしてお金も自分のものにしてしまおう、という意思を感じました。気になったのはそこぐらいで・・・。ドラマでは豊増家、小説では香月家で不妊治療が夫婦の不仲の原因のひとつ、とされていますが、これは不要だと思った。
人間、ある程度は成り行きに身をまかせるときがある。・・・にしてもミチルは極端・・・。どこにでもいるフツーの人はしないよ、こんなこと。笑。初山さんがすごーくいい人で、ステキな友達だなあと思う。高倉さんも竹井の支配さえなければいい子だし、お友達に限って言えば恵まれたのにな・・・。
ミチルの勝手な振る舞いが災いを招いた、自業自得ストーリー。竹井のゾンビ並みの生命力と執念に、感動すら覚えます。オチは、ドラマと似たような感じで、まあ、こんなもんか・・・という感じですが、全体的におもしろかったです。
最後に、宝くじは自分で買いましょうってことですね。タテブーみたいにしつこいの見るとね、ホントそう思う・・・。


「かわいそうだね?」

綿矢りさ/文藝春秋

同情は美しい、それとも卑しい?美人の親友のこと、本当に好き?誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。

綿矢さん、かわいいですよね~。雑誌でお見かけすると、ついつい読んでしまいます。
どちらの短編も女子と女子の関係が主題で、男の人は、まあ、いるなあ程度の存在感・・・。
「かわいそうだね?」彼の元カノが、部屋に転がり込むことになった。この状況を受け入れられなければ、彼とは別れるしかない。頑張って理解のある彼女になろうと努力するが・・・。隆大はずるい!「同居を認められないなら。別れるしかない」と彼女に言うなんて!元カノと同居なんて、嫌に決まってんじゃん!ここはアメリカじゃなくて日本なんだから、日本の風習に合わせろっつーの!と読んでてむかっ腹が立ちました。アキヨと樹理恵のメールの対比がおもしろかった。親戚のおばちゃん・・・。最後はどうなるんだろう、とモヤモヤしながら読んでましたが、最後はスカッとしたー!彼のために自分を変える、それはそれでいいことだと思う。たぶん、誰だって誰かを好きになれば、多少なりとも変化が起きるものだと思う。だけど、自分のプライドをおとしめてまで、相手に迎合するのはちょっと違うよね。
「亜美ちゃんは美人」サカキちゃんは高校の頃から、同級生で誰から見ても美人の亜美ちゃんに懐かれている。年を経て、社会人になった2人。サカキちゃんは亜美ちゃんから婚約者を紹介される・・・。亜美ちゃんの婚約者のメンタルなわけのわからん発言がおもしろかった。サカキちゃんが、サークルの飲み会でいじられまくるのは読んでて辛かった・・・!このバカ男どもめ・・・!美人には美人の大変さがあるけれど、正直なところ、亜美ちゃんの孤独はどうでも良かった。サカキちゃんが亜美ちゃんの歪んだ心を理解していくにつれ、なんか、もう放っておけばいいのに・・・と思う私がいた。冷たいかな・・・。
一人称が「サカキちゃん」というのがかわいくて、ちょっと和んだ。