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読書の記録です。

「第2図書係補佐」

又吉直樹/幻冬舎

お笑い界きっての本読み、ピース又吉が尾崎放哉、太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴る、胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収載。

新年1発目はこれで!
最近はロッチを良く見かけますが、私はピースの又吉さんが好きです。・・・綾部?綾部は胸毛の衝撃がすごかったからな・・・。まあ、ビジュアルも断然又吉さんの方がカッコイイけどねっ!これ、意外に結構賛同者がいるんですよ。実は文学青年っていうのを半年前くらいに知りまして(遅い)、すごいなーと尊敬の眼差しもプラスされました。私のお気に入りの芸人さんです。ちなみに、私の中で今最も熱いのは黒沢かずこさん(森三中)です。
書評や本の紹介ではなく、読書を通じて連想したことや思い出などが主なので、本の中身についての話はほとんどありません。が、又吉ファンにとっては、非常におもろい本でした。ファンの人もそうでない人も、ぜひ!
選書のセンスも、通って感じがします。読んだことがあるのが、えーと・・・、よん、さつ・・・。自分が読書家じゃないってわかっててもがっくりするわー。太宰好きとしても知られている又吉さん。走れメロスは好きだけど、何か鬱になりそうでこわいんだよなあ。10代のころ、そう思った作品や、とっつきにくくて読むのをやめてしまった作品を、今読んだら意外にすっと読めるのかなとまたチャレンジしてみたい気持ちになりました。
エピソードはどれもおもしろくて、思わず笑ってしまうようなものばかりなのだけれど、特に好きだったのは「万延元年のフットボール」の回のおばあちゃん。自分の言ったこと、忘れるよね・・・。又吉さんの文才がうらやましいです。おもしろおかしく本を紹介してみたいよう!
ピースの漫才を最近みかけないのは残念ですが、これからもマルチに活躍していただきたいです!


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「“文学少女”と慟哭の巡礼者」

野村美月/エンターブレイン

突然ななせが入院したと聞き、見舞いに行った心葉は、片時も忘れたことのなかったひとりの少女と再会する。過去と変わらず微笑む少女。しかし彼女を中心として、心葉と周囲の人達との絆は大きく軋み始める。一体何が真実なのか。彼女は何を願っているのか・・・。

こちらも久しぶりにシリーズ再読を始めた“文学少女”ですー。
とうとう真打ちの美羽さん登場!少しずつ前向きになっていた心葉を、またもや翻弄してめっためたに打ちのめします。ななせさんは、ただ単に意地っぱりなだけで、本当はピュアな女子なんだけど、美羽さんはスゴイねー。小悪魔だねー。と感心してました。悔しいが、こういう女の子に振り回されたい男子は多いんだろうなあ。まあ、振り回すにも容姿がかわいくなきゃ誰も振り回されてくれないっていうか、結局美人が得なように世の中できてるっていうか・・・。・・・。へこむわー・・・。
ここで、芥川くんと美羽の関係も明らかになります。友達が実は・・・というのは、結構きついと思います。芥川くんと心葉の教室での殴りあいはびっくりした!「あいつは、ただの女なんだ!(うろ覚え)」とか、高校生の会話ですかっ!?今まで、彼らは私と同じちょっと地味な方の高校生だと思ってたんよ。・・・もうね、衝撃・・・。
今回のモチーフは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。ジョバンニとカムラパネルラという名前は誰もがおなじみだと思います。しかしながら、私は銀河鉄道の夜を全部読んだことがないのです。全部読んだことがあるのは、注文の多い料理店だけなのです。風の又三郎もリタイアしたなー。あの、独特のオノマトペを始め、少し読みにくかったのかなあ。しかし、遠子先輩が語る銀河鉄道の夜は美しくて、悲しくて・・・。また、チャレンジしてみたくなりました。
心葉と美羽の、長い苦しみにも一応決着が着きました。美羽も、満たされない寂しさを抱えて必死だったんだとは思いますが、それにしても色々やりすぎだろう、とツッコミたくなりました。まあ、心葉がいいんだったら、いいんだろうけど・・・。私だったら許せないなあ。ななせさんとの殴り合いはスカッとした!心葉とななせさんとの距離が縮まりすぎて、遠子先輩は~?と心配になります。本命は遠子先輩ではなかったの!?ああ、でも胸の大きさでは勝ち目がないし・・・っていうか、受験、受験はどうなるの!?


「GosicksⅡ」

桜庭一樹/角川書店

まぶしい日射し、あふれる緑、静寂に満ちた、聖マルグリット学園。久城一弥とヴィクトリカは初めての夏休みを迎えた。大図書館で、庭園で、芝生で、謎を解き、世界を語る2人の距離は少しずつ近づいてゆく。

久しぶりのGosickシリーズ!
しばらく続きも出てないし(というか富士見ミステリー文庫自体がいつの間にか消滅していた。笑。)、近くの書店では既刊すら見かけなくなったので、続きをどうしよう・・・と思ってたんです。そしたら、角川文庫で復刊して良かったにゃーと喜び小躍りしているうちに、本編の続きも短編集も新作が出て、嬉しいにゃーと踊り続けて、最終巻までそろえたのに、読んでない私。毎度のことながら、ダメじゃん!
・・・欲を言えば、武田日向さんの挿絵もそのまま復活させて欲しかったな・・・ごにょごにょ。
今回は、夏休みのお話。みんな実家に帰ったけれど、一弥とヴィクトリカは寮に残ることに。今回は、謎解きよりも、ヴィクトリカのかわいさ重視という印象。
「仔馬のパズル」パズル!前巻に出ていた話の続きですね。答えを見るとふーんって感じですが、自分じゃわからない・・・。少し寂しそうなヴィクトリカに胸キュン・・・。置いてけないよ、こんなかわいい女子・・・。
「花降る亡霊」おてんばアブリルがバカンス中に巻き込まれた事件。事件よりも、ヴィクトリカがアブリルのことを「屁こきいもり」と呼ぶのにうけた。そういや、そう呼んでたっけなーと。
「夏から遠ざかる列車」寮母さんとセシル先生の友情が素敵でした。しかし、セシル先生は昔からマイペースな人だったんですねえ・・・。振り返ると、このトリックが一番オーソドックスで良かったかなあ。ケーキが焦げるのを心配するヴィクトリカがツボでした。
「怪人の夏」一弥の姉・瑠璃が遭遇した壷盗難事件。そんなアクロバットなことを割れた壷を抱えてできるものかしらん。瑠璃がかわいくて、10年待ちますと言った殿方の気持ちは良くわかる!・・・のだが、その執念が怖い。
「絵から出てきた娘」リボン・・・。近づいたらわかるような・・・。何よりも、ケーキを夢中でほおばるヴィクトリカに萌える。
「初恋」ジャクリーヌは、いまいち掴めない人だなあと思います。かわいい人なんですけど。グレヴィールの想いが届くことはもう無いのかな、と思うと不憫で不憫で。そういえば、結局ジュピターは食あたりだったということなのかな?


「断章のグリムⅦ」

甲田学人/アスキー・メディアワークス

ロッジの日常的な事件を追った短編2話と、風乃の過去を描いた中編1編。イソップ童話は、神の悪夢にはなりえないが、人の悪夢にはなりうる・・・。

8巻以降も上下巻構成が続く模様なので、ここらでちょっと一息、の短中編です。短編なんだから、そんなディープな話はないだろう!と踏んでいた私が甘かった・・・。
今回のモチーフはイソップ童話です。イソップといえば、いろいろありますよねえ。私は、ツルとキツネのスープの話をぱっと思い浮かべるかな。
「よくばりな犬」深夜の12時にカミソリをくわえて、水を覗き込むと将来の結婚相手が見えるが、もしその時にカミソリを落としてしまったら、相手の顔に傷が残るという占いがすごいな!まあ、歯茎にカミソリがつきたった時は、どうしようかと思いましたが、1話目はなかなかいい終わり方だったんですよ・・・。油断もするというものです。
「アリとキリギリス」これは、たぶん誰も悪くないから、余計残酷に思えたのかも。美幸の恋愛にオクテなところは私もよくわかるし、比奈実の恋に一生懸命な生き方も、幸せになる一つの選択だと思う。大塚先輩にも好みはあるだろうし、嫌いなタイプなのにそれを表に出さないで、平等に接しているのはすごいと思う。合わなかっただけなのに。しかも、失恋が原因ではなく、自分のプライドが傷ついたことが原因というのが、またなんとも言えない・・・。比奈実の罪悪感は、少しずつ薄れていくだろうけど一生残るなあと思ったら、すっきりしない結末でした。
「金の卵をうむめんどり」これは何が嫌だったかというと、ネコを殺すシーン。人間はまだ大丈夫なんだけど、どうも動物を惨殺するシーンというのはそれだけでものすごい嫌悪感を私に感じさせるようです・・・。雪乃が小さいころのお友達の話。義理の親との関係は現実でもあるもので、答えなどなかなか見つからないものですが・・・。でも、死んでしまったら終わりなのに。前の話でも思ったんですが、今はどんなに絶望しても生きてさえいればいつか何かが変わることがあるのに、と残念でした。このあと風乃姉さんはあの事件を起こすのかな・・・。


「人間は、きらびやかで楽しいものしか見ないのだ。誰も見ていない黒くて地味な努力など、報われることはないのだ。」


「ジョーカー・ゲーム」

柳広司/角川書店

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく。

お久しぶりでござる!
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・・・気をとりなおして、記憶をたどる作業に戻ります。
柳さんの作品は、すごーく前に「聖フランシスコ・ザビエルの首」を読んで以来です。もちろん、この私が本の詳細な内容を覚えているはずがなく・・・。残念!おもしろかった、と思ったのは覚えています。笑。あと、私に高度な理解力があれば、ものすごく楽しめたのでは・・・と思ったような。そんな知的なイメージのある柳さんの作品。話題になった本という理由もありますが、それよりも、文庫カバーの結城中佐を見たら、手にとらずにはおられなかった!かっこいい!
結城中佐は、陸軍内に極秘のスパイ養成機関を設立する。その名はD機関。試験を突破したスパイ予備軍たちは、経歴も出身地もさまざま。しかし、能力だけはズバ抜けているのだ。
登場人物も、視点もさまざま。色々な角度からD機関について見ることができます。最後はD機関や結城中佐が暗躍して、敵を出し抜いて解決!みたいな展開が多いのですが、中には後味が悪いものも。はらはらしたり、スパイの計算されつくした行動に感心したりと、スパイについて詳しくなった気分にひたれそうです。「007」みたいに、華やかなイメージは全くなく、地中でひっそり息をひそめているイメージでしたが、これがアメリカと日本のスパイ文化(?)の違い・・・。あるいは、国民性の違いでしょうか・・・。
普段は私情をはさまない結城中佐が、「ロビンソン」ではなむけの本を渡したり、「XX」で最後に粋な一言を言ってたり。垣間見える人間臭さに、ハートをがっちり掴まれた方も多数いらっしゃると思います。がっちり掴まれた私は、続編もがっつり読んだのでした。