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読書の記録です。

「鋼殻のレギオスⅥ レッド・ノクターン」

雨木シュウスケ/富士見書房

「ニーナは現在、行方不明だ」その瞬間、レイフォンは心の中でコトリ…となにかの音がしたのを感じた。その間にも、夥しい数の汚染獣がツェルニに向かって一直線に向かってくる。一方、グレンダンを発ったリーリンは途中で立ち寄った学園都市・マイアスで奇妙な事件に巻き込まれる。

小隊対抗試合が終了して、この巻から第2部が始まったそうです。リーリンはツェルニを目指し、ニーナは姿を消し、レイフォンはまたもや悩む・・・。私はそこまでレイフォンはニーナに依存しているとは思っていなかったので、この展開には違和感を感じました。一応、彼も彼なりに考えて戦うことを選んできていると思ってたんだけど。そうじゃないと、いままでの5冊分ずっとコバンザメ状態だったのかよ!ということになりません?それはあまりに主人公として虚しい・・・。
ツェルニの現状については、廃貴族がニーナにとりついた瞬間、ツェルニが廃貴族の支配から逃れたのではなく、ツェルニもニーナにとりついて、廃貴族の力を中和していたから、都市は精神体を失って暴走していたということかなあと思ったのです。しかし、廃貴族の意思が都市を汚染獣の群れに向かわせている、という前回の話からすると、今回も状況は一緒なので、やはり廃貴族の支配下にあるんでしょうか・・・。謎・・・。ツェルニは相変わらずピンチの連続で、レイフォンとカリアンは人語を操る汚染獣との対話に成功したけれど、ここでも謎の言葉が・・・。オーロラ・フィールド?、人類保全プログラム・・・???これについてもフォローは無く、ただ出してみましたくらいの感じ・・・?
まあここまでは演出としてもだ!一番不可解だったのはニーナ!ツェルニから姿を消したニーナは、リーリンが足止めされていたマイアスという都市に現れます。なんでマイアスかというと、縁とか呼ばれたとか言ってまして、ニーナ本人は納得しているようだったのですが、私には全くわからん!体が透明になってワープしたり、ツェルニに本体があるような発言をしてみたり。ディック先輩って誰だ!笑。もう、苦笑いしかないという状況。あとがきの通りならば、短編を読んでないとわからないところがあるそうで・・・。・・・。
短編とのリンク、大いに結構です。しかし、文庫になっていない短編を読んでいないと、本編がわからないというのはいかがなものか。自己満足で終わっちゃだめよ!同人誌じゃなくてプロなんだから!
最後に熱いニーナ隊長が帰ってきたので、少しは救われました・・・。
クールダウンするために、レギオスとはしばしの別れ。


「より強い意志を、決意を、邁進することを恐れない心を。」

「わたしにあるものは、ただそれだけしかない。」


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「鋼殻のレギオスⅤ エモーショナル・ハウル」

雨木シュウスケ/富士見書房

対抗試合の最終戦、ツェルニ最強の第一小隊との決戦を前に、ニーナは全メンバーでの合宿を計画した。合宿最後の夜、レイフォンはナルキ、料理当番として参加したメイシェンに呼び出されるが、足場が突然崩れ落ちる。

第十七小隊への残留を決意したナルキ。メイシェンが天剣授受者という言葉を知っていたこと。レイフォンは、いつか、自分の過去を彼女たちに話すことになると予感していた。
メイシェンも、レイフォンの過去を知るところとなり、少し距離が縮まったかな?というところ。レイフォンを巡る女性陣の中で、一番不利なのはメイシェンなんですよね~。普通なら、守ってあげたいキャラで有利になりそうなところなんですが・・・。残念ながら、ラノベで超ニブイ男には受け身タイプがヒロインになることはあんまり無いような気がするなあ。だから、何があろうとメイシェンに勝ち目は無いのだよ・・・。一番有利なのは、幼なじみポジションのリーリンかな。とうとうアクションを起こしましたし!次点はクールビューティーのフェリさんかしら。我らがニーナ隊長は、レイフォンに惹かれてはいるんだけど、ツェルニを守ることが一番!という思考に変化があったら進展もあるかも?・・・今のところの予想はこんな感じで~。
そんなうはうはハーレムのレイフォンは、まさかの事故で怪我。一般人がいるところで、剄を使うと危険~というのが、いまいちピンと来なかったけれど・・・。結構な重傷で、試合には出場できず。その代わりというわけではないけれど、シャーニッドの誘いに応じて、シェーナが第十七小隊に加わります。このメンバーで第一小隊と対戦することに。結果は惨敗・・・。武芸者の体のしくみが、一般の人間とは違うとは感じていましたが、治療の話とか手術の話になるとさらに人間離れしているように感じます。なんか・・・できすぎっていうか・・・。もう、人間ちゃうやん・・・。
ディンから去った廃貴族がまたも暗躍しています。今度は、ニーナに!隊長ピンチ!ハイアは使い捨てキャラかと思ってたもんで、また登場したことに少し驚きました。傭兵団のメンバーも出てきたりして。
レイフォンは、彼なりにどうしたら都市に溶け込めるのか考えているのだけれど、武芸者として生きるのかどうかも定まっていないし、5巻読み終えても、ふらふらしている印象が拭えません。強いのに、決断できそうな問題で苦悩しているところが、レギオスの持ち味なのかなーと思いますが・・・。いい加減イライラしますね・・・。笑。


「傷つくのを恐れるのは間違った行動ではないよ。だけど、傷つかないものに美しいものがないのも確かだ。」


「断章のグリムⅤ&Ⅵ」

甲田学人/アスキー・メディアワークス

田上颯姫の妹が住む街で起きた女子中学生の失踪事件。“泡禍”解決要請を受けた雪乃と蒼衣の二人を待ち受けていたのは、愛の幼馴染みの非公認騎士の少年だった。『赤ずきん』の予言を受けた“泡禍”は、静かに新興住宅地の町を蝕んでいく・・・。

粘着系ホラーファンタジー。こちらも久しぶりです~。
前巻で、蒼衣の断章は最強だなと思ったら、もう限界が訪れました。
今回のモチーフは赤ずきん。これも有名な童話ですねー。おばあさんの家におつかいに行った赤ずきんが、狼にそそのかされて、お花を摘んでいる間に狼はおばあさんをぺろり。その後、おばあさんになりすまし赤ずきんもぺろり。その後、狼がお昼寝中に通りがかった狩人がおばあさんと赤ずきんを救出。狼のお腹に石をつめて、殺しましたとさ。というなかなかの残酷物語となっております。これ以外に、類話として狼と七匹の子やぎ、赤マントの怪談なんかも盛り込まれています。赤づくし!
前回と同じく、ヘルプ先での事件。出張では、いつもと違う騎士の顔ぶれが見れておもしろいですねえ。笑美さんの断章も、泡禍も、はさみがキーポイントとなっています。断章はありだと思うんですけど、物理的にはさみで人間を解体するのは無理かなあ。とはいえ、切れないのを力わざで押し切る描写は痛い、痛い・・・。笑美さんのはさみと、勇士の針の道、どちらも攻撃的な断章でした。雪乃さん、ただでさえリストカットしないといけないのに、針の道でズタボロでした。勇士が意地を張らないで、協力していれば被害がもう少し少なく済んだかもしれないのに・・・。
今回の泡渦は、潜有者が誰?というよりは、構造がややこしかった。始まりは斉藤愛が殺した人形だけど、配役がシフトして、狼が一人歩きを始める。狼に殺された人間は、次の狼となり人を殺す。狼に殺された人間は・・・。という無限のループを繰り返していて、おそらく狼はそのまま人間の皮をかぶって生活しているわけです。だから、あの大量殺戮しか方法がないという決着になったのですが・・・。あれは極論でしたね・・・。今回も、きれいには終われなかった。だんだん被害の規模がでかくなってて、今後が心配ですねえ。騎士団には、証拠隠滅・目くらまし等、断章保持者の自己防衛の機能もあったという事実が明らかになります。そりゃそうだ、という感じでしたけど。特殊能力モノでは、異端児の迫害は良くある話ですから・・・。
赤ずきんといえば、狼と赤ずきんの掛け合いですよね!「おばあちゃんのお口はどうしてそんなに大きいの?」「おまえを食べるためさ!」っていうあれ。正直、このくだりは赤ずきんちゃん天然?大ボケ?大バカ?ってつっこみたくなるシーンなのですが、勇士と愛のやりとりで、このパターンが上手く応用されてるなあと。良かったです。
蒼衣くんの好みもはっきり、雪乃さんって書いてあったので、蒼衣は雪乃さんラブでいいのかな。難儀な好みだなあ。あんた、苦労するよ・・・。
次は海外出張で決まりだね!学生でも夏休みならOK?


「つまり結局、人間にとって本当に恐ろしいのはやっぱり人間なんだよ。」


「鋼殻のレギオスⅣ コンフィデンシャル・コール」

雨木シュウスケ/富士見書房

剄の力を加速的に飛躍させる違法酒密輸事件を捜査していたツェルニ都市警察とレイフォンは、偽造学生証を保持した集団に遭遇する。その中に、グレンダンの最強傭兵集団の団長・ハイアがいた。さらに違反酒捜査の手はツェルニの生徒にまで及ぶ。

積みラノベを消化キャンペーン実施中です~。このシリーズも、だいぶ先まで出てますが・・・。飽きるところまで、追っかけてみよう!
ええっと、前回までのあらすじがすっぽり抜けてるけれど、ツェルニでは武芸大会の予選?小隊の試合中なんですかね?で、グレンダンでは、大きな動きは無く、リーリンがデルクからレイフォンへの預かりものを受け取ってどうしよう・・・な感じ。
今回は、シャーニッドの過去が少々。試合で対決する第十小隊は、かつてシャーニッドが所属していた隊。ディンとダルシェナ、シャーニッドの連携は素晴らしいものだったが、突然シャーニッドが脱退。その後、第十七小隊へ入ることに。彼らにとっては、因縁の対決となるがそれ以外にも問題が。ディンが違法酒の密売に関わっているという情報が入ったのだ。
今回のメインは第十小隊のディン、ダルシェナ、シャーニッドの三角(いや四角?)関係を通して、都市を守りたいと頑張る他の小隊員のお話という感じでしたー。ニーナはニーナですごく強い信念を持っているのだけれど、他の小隊員もこれだけの思いを持っているんだ、という。彼らはそれが恋愛感情と混ざってしまって、駄目になってしまったんだな。この人のためにという思いが先だったのか、都市をただ守りたいという思いが先だったのか、もうわからないけれど、もう、あの頃の3人には戻れないの・・・。というなんかの曲みたいな感じでした。
第十七小隊にナルキが加入したり、最後にフェリとニーナとレイフォンの三角関係を匂わせたり・・・。廃貴族、という新たなキーワードも出てきました。ここらあたりから、物語が広がりを見せてくるのかもしれません。自律都市の精神体が重要な役割を担ってくるような・・・。汚染獣に滅ぼされた都市の精神体が恨みによって、暴走している状態の廃貴族。これをグレンダンに持ち帰って、どう利用するつもりだったんでしょうねえ。そこがわからなかったのは残念。物語にどう絡んでくるのか注目!
今回も、レイフォンは本来は刀~とか色々言ってましたが・・・。俺の力はまだ100%出してない、みたいな感じ?正直、レイフォン最強話はもう飽きたの・・・。強い、強いと連呼されると逆に疑わしくなってくる・・・。


「七人の武器屋 エクス・ガリバー・レボリューション!」

大楽絢太/富士見書房

天空郷に飛び、天空城の開放に成功した七人。英雄となるも、地上に帰るための道具がないと判明。すべての問題を乗り越えたとき、七人が辿り着いたエクスの未来像とは!?

地上に帰れない!?という衝撃のラストからの続き。地上に帰るためのアイテムを暴君プルートーが全て壊していたためらしい。しかし、オズの助言もあって、聖剣エクスガリバーを作ればいいじゃん?という話に。ケンジは自分の壁を越えられるのか?そして、エクスの行方にどのような答えを出したのか?
最後とあって、ちゃんとそれぞれの問題に決着がつきました。良かった!ケンジの答えは正直意外なもので、かくっとなりました。だって、フツーやったら、強さとか正義なのに。愉快って!笑。確かに、今まで彼が作ってきた武器を思い返せば、納得せざるをえないけれど・・・。あとは、ドノヴァンとミニィちゃんのカップルの結末も。というか、この二人がカップルであるという認識が無かったせいか、いまいちしっくり来なかったなあ。いつくっついたんだっけ?忘れちゃったよー。イッコとマーガスは、まあ、ごちそうさまというところで・・・。ジャンの決断は、妥当なところかなあ・・・。何カッコつけてんだよ!と思いましたけれども。そういえば、ノンはかなり早めに問題が落ち着いたせいか、特に何も無かったですな。
閉店か存続か、エクスの問題については、定期的に店を開く「祭りスタイル」に落ち着いて一件落着。妥当な落としどころではないかと・・・。それぞれ本職を持っているので、これまでみたいに売り上げが・・・とか悩まないで好きにできるところがいいですよね。当分はこの形態で存続して、その内忙しくなってきたら、だんだんこのペースでも集まれない人が増えてきて、自然と解散・・・という流れでしょうね!爽やかにネガティブな予想で締めくくり~。
主人公がこんなにも平凡で、影が薄いシリーズは珍しかったかも。でも、いなくなったときは、とても物足りなかったなあ。マーガス、最高でした!


「サンキュー、エクス・ガリバー!」