「同情なんていらねえぜ!」 本 2011年04月04日 秋田禎信/富士見書房超マイペース娘・ラシィ登場の第9弾!オーフェンの続編が決定したそうですね!わーい。無謀編も最後の1冊を読んでいるところです。感想も追っかけていきますよー。「どっか遠くへ行っちまえ!」いやいや、ドロシー姉さんも乙女だったってことっすよ。友達が旦那さんのことを「うちのダーリンが・・・」って言って、「えっ?何?今何て?」と耳を疑ったことがあるけど、あれみたいなもんだよねー、と、今では冷静な自分がいた。笑。何にときめいたかって、草河さんの描く「巨鳥カゲスズミノコギリコバト」でしょう!コバトなのに、あの大きさ。笑。オオムラサキモンシロキアゲハも好きですよ。なにげに。「迷惑だから消えてくれ!」うわー、ラシィだ!私、結構ラシィ好きなんですよ~。「あのあの」「モグリさん」「~ですぅ」「はいぃ」は無謀編読者では知らないものはいないでしょう!(断言)かわいいなあ。しばらくラシィに和ませていただきましょう・・・。「大きなお世話だこの野郎!」さあ、人間として最低な生活を送っているモグリさんを真っ当な職に就かせてあげよう!レッツ就職訓練!という話。就職訓練センターの責任者ともなれば、世界の支配者にも等し・・・くないないって。笑。醜い争いだった・・・。てゆーかスケールが小さすぎる・・・。当然、訓練になるわけもなく。訓練っていうより洗脳に近いから、洗脳センターに改名したらいいと思う。「同情なんていらねえぜ!」100キロの箱をひょいとパスするキースがおもろいです。ああ、私ボニーも好きなんだよなー。ラシィかボニーか・・・?モテる男がうらやましい!「袖すりあうも他生の縁」プレオーフェン・邂逅編。ハーティアが主役です。ミステリー(?)仕立てな感じなのですが、少々シメ方があらっぽいなあという印象のため、きっとミステリーじゃないんだろうなと結論づけてみました。ハーティアは、戦闘能力は高くはないけれど、処世術がうまいんだろうなと思います。要するに、教室のなかでは(これでも)一番常識人。なはず。 PR
「本格ミステリ10」 本 2011年04月02日 本格ミステリ作家クラブ編/講談社10冊目が出た、ということは10年経ったということで・・・。・・・。今回は残念ながら、物足りない作品が多かったです。「サソリの紅い心臓」星座ウンチクのアレだ・・・。と最初からイヤな予感がひしひしと。トリックもうん、そうですね、って感じでインパクト薄。身代わりってよくある話ですし。「札幌ジンギスカンの謎」これもあるあるパターンのような気が。緊張して雪を食べ過ぎたって・・・。おいおい・・・。「佳也子の屋根に雪ふりつむ」ありえない偶然パターン。途中まで幻想的ないい雰囲気だったのに、謎解きの段階でぶち壊し。まあ、現実の殺人の動機なんて、ほとんど金か痴情のもつれだしねー。「我が家の序列」ミステリ・・・というカテゴリーではいただけないが、犬小説としては大変よろしかった。こういう路線だと、動物死んじゃうんですけど、死なないでかついい話にすることはできないのかしら?「《せうえうか》の秘密」《せうえうか》って何?何?と思って読み始めたら、あっさり分かって、しかも何故歌詞が改変されたかという謎に対する答えがあまりにも真面目で物足りなかった。私としては、宝物探しとか、もっとくだらない意味があったとか。・・・学生はバカであって欲しいんですよ。・・・下ネタじゃなかっただけ良かったけど。「凍れるルーシー」雰囲気勝ちの1作。なんかずいぶん前に読んだ「火蛾(古泉迦十)」を思い出した。わかるような、わからないような・・・っていう。信仰心は未知なる感情。想像で補えるように見せかけて、あなたには理解できないでしょう?と突き放す最後はなかなかおもしろいです。「星風よ、淀みに吹け」私はSFに明るくない人なのですが、小川一水さんのお名前はもちろん知っています。だから、ミステリ短編に?という違和感を感じていましたが、なかなかどうしてクローズドサークルに特有のみんなが疑心暗鬼状態が良かったです。作品中、一番人間の深いところが描かれていたなあと思います。ところで、こんな6人中2組もカップルがいるグループって居心地悪そうだなあ、なんて思ったりした。「イタリア国旗の食卓」激アルバイターさんの話をすっかり忘れていたので、誰が誰やらという感じでした。すべては修也くんが誰の前にどのお皿を置くかにかかっていたわけで・・・。秀樹くんの前にそば粉入りの料理を置いてしまう可能性もあったわけで・・・。本当に無駄な犠牲を出したくないのならば、もっと確実に仕留める方法を考えるべきだよなあ。自分でサーブしに行くとか。不自然かな。
「龍神の雨」 本 2011年03月26日 道尾秀介/新潮社人は、やむにやまれぬ犯罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。そして今、未曾有の台風が二組の家族を襲う。直木賞受賞おめでとうございます。何かと話題の尽きない道尾さん。今回も見事に騙されてあげました!いや騙されました!一番気になるのが「ところで、あの体操服に関するフォローはないのかい?」というところ。例によって、ミスリードでこいつなんだかアブないぜ?という扱いを受けていた辰也くんが、実は色々誤解だったんだ、楓にほのかな想いを寄せているだけの男子だったんだよ、というフォローが後半に用意されています。しかし、体操服がなぜ引き出しにしまわれていたかについては、一言のフォローも無かったような・・・。なんか、消しゴムとかだったらかわいいけどさ、体操服とか靴とかやばいでしょ。やってないことの方が多いけどさ、体操服は盗んだんだね・・・とそこが気になって気になって。本筋より「体操服を盗むことは、健全な男子中学生がとる行動として一般的か?」という問題の方が私にとって大きかったというか。こんなことを熱弁している私の方が変態っぽいな。笑。やめよ・・・。それにしても、店長の妄想パワーには驚きました。どこが一番怖いって、店長の家のシーンが一番トリハダものでしたね!最後はなんだかもやっとした終わり方で残念だったなあ。すべてはすれ違いから生じた誤解によるもので、もっとお互い向き合っていればこんなことは起きなかった。でも、じゃああの場面で違う選択ができたのか、あの時別の行動がとれたか、というとそれは無理な話で、なるべくしてこうなったという結末なのだろうと思います。雨の日は、なぜか気分が落ち込んでしまう・・・。そんなレイニーブルーを感じられる一冊。でも雨がやんだあと光が差し込むように、ちゃんと救いの手も用意されているのです。
「鳩とクラウジウスの原理」 本 2011年03月04日 松尾祐一/角川書店恋愛に縁のない青年・磯野の新しい職場は「鳩航空事業団」。そこでは鳩が恋文を運ぶ伝書鳩サービスを提供している。ある日、伝書鳩が「クラウジウス団」なる連中に拉致されてしまう。かくして鳩を巡るナンセンスな闘いが幕を上げた。またまた題名インパクトで選んだ本。理系作家さんですねー。クラウジウスの原理というワードを知らなかった・・・。えー、これは熱力学第二法則の一つで、「熱を低温の物体から高温の物体へ移動させ、それ以外に何の変化も起こさないような過程は実現不可能である。」ということ。つまり、「熱は高温の物体から低温の物体へ流れていく」ということで、えーっとこれがどうして「恋愛において女性は易きへ流れていくものである」という話になるのか?という疑問が・・・。 そもそも、女性が易きに流れるって言うけどさあ、当事者になろうとせず、傍観して不満を言っているだけの自分達の方がよっぽど「易きに流れている」と思わない?主人公は広告代理店に勤める磯野。そこに、大学時代の友人ロンメルと犬さんが転がり込む。なし崩しに3人の共同生活が始まる。そんな中、磯野は鳩航空事業団にスカウトされるが、伝書鳩郵便はクラウジウス原理主義者の会の妨害にあっていた。で、このクラウジウス原理主義者の会というのが、磯野たちが大学時代に結成していたサークルで、今もロンメルが代表を務めている。私は、主人公とロンメルの戦いみたいなものを期待していたのですが・・・。それよりは、社会に飛び出して2、3年目の葛藤というか悩み?仕事に対する意義や、社会と自分とのギャップ、恋愛に対する羨望?まあそのようなものがごった煮になったようなお話でした。むむむ。入り込めないー!書評では「主人公のモノローグが核である」と書いてあって、確かにそこだけ浮いてるんですね。私には、全体的なカラーと合ってない上に、なんでここだけセピアな感じにしたのか、意味がわかんなかったですけどね。とにかく、散漫。この一言に尽きると思う。登場人物はみな個性的で、それはおもしろかったです。特に、不思議少女の犬さんがかわいかった。これ同性だからかわいいって言えますけど、彼女だったらかなり振り回されるな・・・。最後はそれぞれ新しいスタートをきる、という前向きな終わり方で読後感は良かったかな。あのカップルはいつの間に?という疑問は残りましたが・・・。私としては、伝書鳩でラブレターを送ろうぜ!っていう「鳩恋」のコンセプトが好きだったので、もっと鳩郵便に重心を置いて欲しかったなー。それじゃあ青春小説にならないけどさ。世界観はなかなかに好きなので、次回は設定をもっと生かした作品を書いて欲しいな。
「理由あって冬に出る」 本 2011年02月23日 似鳥鶏/東京創元社吹奏楽部は送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来ない。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?ジャケ買いな一冊。おもしろい題名だなーと。幽霊のことだったんですねー。青春ミステリー。意外にビターな終わり方でした。ミノ、可哀想に。舞台は文化部が集まっている芸術棟。そこで幽霊が目撃される。真偽を確かめるため、美術部の葉山君は吹奏楽部の高島先輩と秋野、友人のミノ(演劇部)とともに張り込みをすることになるのですが、本当に幽霊が現れちゃったよ、おい、というのが事件の始まり。そこで探偵役として名乗りをあげたのが、文芸部部長の伊神さん。フルートを吹く幽霊、壁男の正体とは!?という謎と、イントロで消費者金融のお話が出てくるのですが、それが一体どう関係あるのか?という謎もありました。怪談が2種類あって、それぞれにトリックがあり思惑があり、関与していた人間があり・・・とごちゃっとしていた感じがします。その積み重ねが収束していたら少し感じ方が違っていたかもしれない。あとはキャラクターですが、伊神さんは確かに濃いかな?お店に入って何も注文せずにいられる度胸はうらやましいかもしれない。あとは、女好きの東くんなんかムカつきましたねー。主人公は、特に何も・・・。色々出てきてるんですが、造作が似たようなタイプが多かったので、これまたごちゃっとしていて後に残らないという残念な結果に。風変わりな題名から、もっとインパクトの強い内容を期待していたのですが、青春ミステリーだね、という印象しか残らず。ミノが善意でしていたことが、実は・・・という裏切りは意外性があっておもしろかったですけど。豊中の偽装自殺あたりは、何だか陳腐だなあと。エピローグもとってつけたようで、蛇足だにゃー。ミステリーとしては色々と不満が残りましたが、高校生がつるんで、あーだこーだやってる雰囲気は良かったので、今後の作品に期待したいところです。