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読書の記録です。

「きょうの猫村さん3」

ほしよりこ/マガジンハウス

1日1コマで連載しているほしよりこの大人気エンピツ漫画第3弾。
猫なのに家政婦、猫だけど働き者。そして意外に芸能通な猫村ねこ。ご奉公先の犬神家は相変わらず夫婦親子嫁姑と全方向に問題続き。ヤンキーの尾仁子おじょう様は集会を企みつつあり、奥様の顔のメンテナンスはとどまるところをしらず、旦那様はなんだか奥様に冷たいよう…。女優・若杉利子の私生活やアイドル・森コリスちゃんの将来までも、猫村さんの小さな胸は気がかりなことでいっぱい。夫婦って家族って一緒にいることって…?
それでも、きょうも精いっぱい猫村さんはおつとめします。


表紙の猫村さんが気持ちよさそう~。
3巻は大きな展開はなく、大体、あらすじどおりです。テレビ番組が変わったのと、肉屋の息子が出てきたくらいか。たかしぼっちゃんの就職が決まりました。以上!笑。
マンガって文字だけじゃ、気に入ったポイントを紹介するのに限界があるよな~と思ったので、大昔のスキャナーとか引っ張り出して、ああだこうだやってみました。もっと美しくするつもりが、ここらへんが限界でした・・・。全国のネコムラーさん、すいません!
マンガのレビュー書いてる人って、すごいなあ・・・。

以下、選りすぐりの気に入ったコマ。
①つめとぎ違い。
 

②猫村さん、禁断の整形
 

③そんな猫村さんが、大好きだ!

④ご主人、何気に猫に対して失礼。
 


意外に深い本です。図書館で借りれるしね!犬神家、どうなるんだろ・・・。


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「さよならの次にくる<新学期編>」

似鳥鶏/東京創元社

名探偵の伊神さんは卒業、葉山君は進級、そして迎えた新学期。曲がり角が衝突したことがきっかけで、可愛い一年女子の佐藤さんと知り合った。入学以来、怪しい男に後をつけられているという佐藤さんのために、葉山君はストーカー撃退に奔走することになる。苦労性の高校生・葉山君の、山あり谷ありの学園探偵ライフ。

演劇部を手伝ったり、文芸部の伊神さんと親しかったりで、忘れかけてましたが、葉山くんは美術部だった!2年に進級した葉山くん、新入生が入部しなければ、1人ぼっち!・・・まあ、それはそれで気楽かもしれない・・・。そんなある日、葉山くんは曲がり角でぶつかった1人の新入生と知り合うことになる。彼女・佐藤希との出会いから、後編スタートです!
「ハムスターの騎士」ストーカー撃退作戦。ノリノリな演劇部の人たちがステキだった。葉山くん、希ちゃん、柳瀬さんの三角関係に発展するか!?
「ミッションS」青少年よ、永遠に!高校生男子の具体的なあっちの事情はよくわからんのだけど、無修正とか見ちゃうのか。そうなのか。ここでも、演劇部がノリノリでステキ。希ちゃんは、伊神さんの妹?はいないから従姉妹?親戚?とか考えてた。
「春の日の不審な彼女」希ちゃんの正体が明らかに!っていうか、渡会さんの衝撃的な再登場にかすんでしまった。笑。インパクトはあるけど、主人公の初恋の思い出を前編で打ち砕くだけでなく、こんな形でおとしめるのはかわいそうだし、スマートではないような気がする。それにしても、葉山くん、ロマンスかと思いきやまるでピエロ・・・。
「And I`d give the world」妹は妹でも腹違いの妹だった・・・。なんか、重いんですけど・・・。あと、そんな難しい暗号、わかりません。笑。
「よろしく」断章のつじつまもあったし、伏線も回収できて、きれいに収まりました。しかし、なんだろうこの納得のいかない感じ・・・。こなれた感じがするけれど、決定的な何かが足りない。この人の味がないのかな?
まだ、積んであるので、また気が向いたら読もう。


「シンメトリー」

誉田哲也/光文社

姫川玲子は、警視庁捜査一課殺人犯捜査係に所属する刑事だ。主任として、「姫川班」を率い、殺人事件の捜査にあたっている。なりたくてなった刑事、三度の飯より捜査活動が好き、できれば派手な事件に挑みたい。そんな女だ。しかし、事件の真相と司法との間には、割り切れぬ闇も確実に存在して…。警察小説の愉しみに満ちた傑作。

ドラマで見た話がほとんどでした。
この前「ドルチェ(魚住久江シリーズ)」も読みました。魚住さんは姫川さんより一回りくらい年上で、どこかあきらめた感じとか達観した感じが、短編の軽い読み心地とマッチして良かったんじゃないかなーと思います。しかし、私はどうやら姫川玲子シリーズの方が好きみたいです。あの強引で、ぐいぐい行く感じが、読んでてスカッとするんだなー。
「東京」ドラマでは菊田の過去話にアレンジされていました。そんなバカな(笑)!という真相です。姫川さんは、敵も多いけど、先輩からかわいがられてるよなー。
「過ぎた正義」余韻が残る終わり方ですが、確かドラマではその後の話もあったはず・・・。これも続きの話があるのかな?実際には許されないけど、気持ちとしては倉田さんの肩を持ちたい。
「右では殴らない」これはドラマの中でも結構好きな話でした。「なめんじゃないわよ」って言ってみたいです。笑。啖呵をきる姫川さんがかっこ良い。売春はもちろん両方悪いけど、若い娘さんを食い物にする男の気が知れない。
「シンメトリー」ドラマとは少し印象の違う感じでした。犯人が左右対称に異常に執着する人かと思っていたけど、そんなことはなかった。うーん、干物に例えますか・・・。
「左から見た場合」これはドラマでは井岡の話になってました。これに関しては、井岡の方が合ってるかな。超能力を認めない姫川さんが姫川さんぽかった。笑。
「悪しき実」樒(しきみ)とかけてます。ドラマでもあれっ?て感じでしたが、本で読むとさらに肩透かしをくらった感じ。しんみりした話です。
「手紙」これはドラマ化されていなかったような・・・。事件より、手柄を立てようという野心に満ちた姫川さんが良かった。女同士が組むとコワイですねー。


「正義?馬鹿をいうな。」

「殺しに正義も糞もあるか。」

「あるのは選択だ。」


「しあわせなミステリー」

/宝島社

亭主関白の真逆を体現する男・兜。愛する息子も恐妻も知らない、彼の本当の職業は…殺し屋!?(「BEE」)。故郷の自然と思い出を守りたい。そんな主人公・夏美の前に現れた、不思議な男。彼の正体は…?(「二百十日の風」)。大人気、佐方検事シリーズ最新作。相次ぐ郵便事故に目を留めた佐方は、ありえない秘策で事件を解決する!?(「心を掬う」)。今回の名探偵は…著者人気シリーズ「アゲハ」から飛び出した、ハラマキ捜査官の愛娘・菜月(8歳)(「18番テーブルの幽霊」)。大人気作家オール書き下ろし、“人の死なない”ミステリー。心にしみる、とっておきのアンソロジー。

確かに人は死なないのですが・・・。
「どんな癒しの物語が読めるのだろう・・・!」と期待していたので、読了後は「これ、しあわせ・・・?」と幸せについて考えてしまいました。ちょっと、一般的な幸せの概念から、ずれてるような・・・。
伊坂さん以外は、はじめましての作家さんでした。
「BEE」(伊坂幸太郎)。兜さんって聞いたことあるような。新幹線の話は、マリアビートルかなと思いつつ。登場人物がすべて頭に入っているわけではないので・・・。ファン以外にとっては、ただのハチ退治の話だよね?しかも、ミステリーでもなんでもないっていう。笑。
「二百十日の風」(中山七里)。中山さんといえば、「連続殺人鬼・カエル男」が気になっています。が、猟奇的な話だったらイヤだなあと思って読めずにいます(←チキン)。で、この話はファンタジーでした。10日間で転勤って早いな!産休の代わりなんだから、産休の先生帰ってくるまではいないとダメでしょ。いやいや、今までのは幻で、実は別の先生がずっと勤務していて、みんなの記憶は改ざんされていて・・・というオチはどうよ!とか、ファンタジーをなんとか現実的にしようと考えていた。・・・でも、これって懐かしいだけでしあわせではないよね?
「心を掬う」(柚月裕子)。幸せに一番近いのがこれかなあという気がする。しかし、下水をドブさらいするシーンを読んだあとに、ほっこりできるはずもなく・・・。あと、最後まで福村さんを疑っていた自分は歪んでるなあと、ちょっと落ち込んだ。福村さん、すごくいい人だったんです・・・。
「18番テーブルの幽霊」(吉川英梨)。爆弾騒ぎと母親と子供の話を絡めています。しあわせかどうかはさておいて、とにかくつまらなかった。話がアレなら、もうちょっと謎ときの方をひねって欲しかった。大体、子供の姿を見たいからってだけで働く店を決めて、今度はテーブルのロウソクの灯りが邪魔だからって、架空の予約を入れるって、どんだけ自分勝手なの!笑。母ならば、もっと他にやることがあるでしょ!
しあわせって、主観的なものだから、他人にはわからないものなのかな・・・。


「海賊女王」

皆川博子/光文社

16世紀。スコットランドの高地に牧童として生まれたアラン・ジョスリンは、17歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。そこで出会ったのは、オマリーの氏族の猛々しくも魅力的な男たちと、赤い縮れ毛を短く切った、10歳の少女グローニャ。闘いと航海に明け暮れる、波瀾の日々の幕開けだった。

16世紀イギリスの下調べをしておくべきだった・・・!激しく後悔。
なんせ、私はイギリスが色々な民族が集まっていて、イングランド、アイルランド、スコットランドで血みどろの戦争を繰り広げてきたことなんて、知りませんでした。ただの地方の名前かと・・・。さらに、エリザベス女王がどのような治世を行ったかも知らなかったので、最初は結構戸惑いました。
一言で本のあらすじを説明するならば、女海賊・グローニャとその従者アランの生涯を描いた物語です。しかし、これがすごいんだ!久しぶりに本を読んでいて、生命の躍動を感じました。登場人物が、こんなにも生き生きと動き回り、満ち溢れる生命力で読者を圧倒する本は少ないと思います。
グローニャが10歳、アランが17歳の時に2人は出会い、アランはオマリーの族長の娘グローニャの従者になります。この関係は一心同体で、男女の関係や血族の関係を超えています。特にアランは、子供が生まれたあとも、グローニャを優先するほど。妻のネルは2人の関係を容認していますが、後年の場面ではグローニャへの強い嫉妬が伺えます。まあ、嫁さんからすれば、旦那を道連れにされたようなもんだからなあ。この草むしりのシーンが、実は一番好きだったりします。
グローニャ自身は、2度の結婚をします。しかし、子供の父親は3人とも違うっていう・・・。しかも、長男と次男は自分より先に死んじゃうんだ・・・。1人目の旦那は自分が殺しちゃうし・・・。何て複雑な家庭環境!グローニャは、1回目の結婚の時に海軍(要するに海賊)を組織し、夫の死後、実家に海軍を率いて戻ります。父ドゥダラの死後、オマリーの族長となり、海軍を率いて海賊活動をしながらイングランド軍に抵抗しつつ、他部族からの侵攻を防ぐ・・・。女傑だ!かっこいい!
一方、イングランドを治めるエリザベス女王も、海賊業による収入を得ていたので、こちらも海賊女王。同じ年に生まれ、同じ年に没した2人の女王を軸に、イギリスの歴史が語られるのです。立場は違うけれど、人の上にたつものは、孤独との闘いや重責、はりめぐらされる陰謀・・・。息をつくひまもありません。
年月はたち、グローニャ60歳の時、末息子のティボットがイングランドに捕らえられます。グローニャは、息子の命乞いのため、イングランドのエリザベス女王に会いにいき、会談を持ちます。これは史実らしいですね!一国の王がアイルランドの部族と会談って・・・すごい!2人の間にはやはり通じ合うものがあるのかな。
60歳のグローニャとエリザベス女王、67歳のアラン。それぞれの老い方をしています。この年を経ていく者のあきらめとか達観とか、まだやれるっていう意気込みとか・・・。そういうのが絶妙な描きかただなあと思います。これは皆川さんだから表現できたんですよね。
このあたりで、殺人事件が発生!ちなみにこの本「このミス」に入ってまして・・・。この事件がミステリーか!と思ったのですが、事件自体よりもそこから発覚した、エリザベス女王の過去と、密偵・オーランド、アランの妻ネルの3人を結ぶ秘密こそが真のミステリーだな!と感心したのでした。このあたりの話も歴史ミステリーみたいでおもしろいですよ。
抵抗空しく、最後はアイルランドが降伏してしまいます。戦いの中で、グローニャもアランも命を落とします。
血なまぐさいシーンが多いですが、海戦も陸戦も臨場感たっぷりで、ノリノリで読めます。何より、登場人物がみんな魅力的なんです!全員は紹介できないけど・・・(最初の登場人物のページを見てください。笑。)。私はオシーンが大好きです!オシーンが笑うときは、「顔中を口にして」笑うんです。きっとステキな笑顔だよー。とてもおもしろいだけではない魅力が詰まった本で、オススメです。きっと、万人受けは難しいけど・・・。


「あの女なら、理解する。」

「女王の孤独を」