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読書の記録です。

「シャーロック・ホームズの冒険」

アーサー・コナン・ドイル/新潮社

ロンドンにまき起る奇怪な事件を追って神出鬼没する名探偵シャーロック・ホームズは、その怜悧な推理と魅力的な個性で読者を魅了する。近代探偵小説を確立したホームズ物語の第一短編集。赤毛の男が加入した奇妙な組合のからくりを追う『赤髪組合』、乞食を三日やったらやめられない話『唇の捩れた男』など10編。

シャーロック・ホームズは、小学生の時読んでました。パスカヴィル家の犬とか・・・。話の内容はきれいさっぱり忘れましたけど・・・。刊行の順番としては3番目になります。短編集。
「ボヘミアの醜聞」ホームズ、出し抜かれる!結婚を控えたボヘミアの王様が、とある女性とのスキャンダルの証拠の隠滅を依頼してきた。変装を駆使して写真を取り返そうとするが、女性は一足先に写真を持ち去ったあとだった・・・。いつの時代も女性は一枚上手です。でも、みんな幸せになって良かったじゃない!
「赤髪連合」加入の条件は赤髪であること。この組合はかつて赤髪の男が、自分と同じ赤髪の人々を救済するために立ち上げたそうだ。ここで働いていたある一人の男が、組合が突然閉鎖したことに驚いてホームズの元を訪れる。そんな組合あるわけないじゃん!笑。男が組合でせっせと辞書を書き写している間に、着々と作戦は進行していた・・・。あっと驚く真相です。昔の泥棒って根気があったんだなー。
「花婿失踪事件」結婚式当日に花婿が消えてしまった!彼の身に何か起こったのではないかと案じる女性が、ホームズに依頼にやってくる。実は、花婿にはとんでもない秘密があった・・・。遺産をめぐる犯罪が、この短編にもいくつか入っていて、これもそのひとつです。いくら近眼だからっていっても、継父との見分けがついても良さそうなもんだけど・・・。タイプライターの文字からの推理、お見事です。娘さんがこの事実を信じないのならば、継父の思うツボで嫌だな。天罰が下らないかなー。
「ボスコム谷の惨劇」ボスコム谷で殺人事件が起こる。容疑者は被害者の息子。これは、被害者が結構悪い人だったので、かえって良かったんじゃないのと思ったくらいでした。
「オレンジの種五つ」ホームズを1人の青年が訪ねてきた。彼の叔父は、かわいたオレンジの種が五つ届いた後から何かにおびえるようになり、最後は庭の池で溺死した。警察は自殺としたが、彼には腑に落ちない点がある。そして今度は彼自身にも、オレンジの種が五つ届いたのだ・・・。キュー・クラックス・クラン!歴史で習いました。確か、白い三角のものを頭に被っている人たちだと思うんだけど・・・。せっかく犯人のメドがついたのに、彼を助けられなくて残念。でも、こちらには天罰が下ったようで、ほっとしました。
「唇の捩れた男」ある女性が街中の建物で、仕事に出たはずの夫を見かける。夫は何かに引き込まれるようにして姿を消した。建物の窓からは、血痕。窓の下からは小銭がいっぱい詰まったジャケットが発見される。夫はどこに消えたのか?お騒がせなダンナの悪癖。乞食の変装がやめられないっていうのも情けないけど、これが女装とかSMとかイメクラとか(イメクラはこの時代にはないか)でないだけまだマシなのかも。
「青いガーネット」喧嘩のどさくさで手に入れたガチョウのえぶくろから、青いガーネットが出てきた!実はこの青いガーネットは盗品で懸賞金がかけられていたのだ。ホームズは、ガチョウの出所の調査に乗り出す・・・。ガチョウから、どんどん手掛かりを得て真相に辿り着く過程が、ザ・捜査!という感じでおもしろかったです。泥棒が間抜けすぎるぜ・・・。
「まだらの紐」ある女性が相談に訪れる。女性の姉は、しばしば夜中に口笛の音を聞くことがあった。そして、ある夜突然「紐よ!まだらの紐!」と叫んでそのまま亡くなってしまったのだ。最近、工事の関係で姉の部屋で寝ることになった女性は、夜中に口笛の音を聞いた・・・。まだらの紐!有名な作品ですが、私は題名だけで内容は知りませんでした。夜中にシューシュー言いながら、ひもを伝ってくるのは・・・。息をつめて真っ暗な部屋に潜むホームズとワトスン。どきどきします。あ、ちなみに正解は変なおじさんじゃないです。
「花嫁失踪事件」披露宴の席上から花嫁が失踪した。はしょって書くと、昔事故で死んだと思ってた元夫が現れたので、黙って逃げたっていうオチなんです。これはね、女が悪いと思うんだけど、ワトスンは男の度量が狭いとか言ってんの!何だよ、ワトスン!逃げられた方の気持ちがわかんないのかよ!私、ワトスンってもっと優しい人だと思ってたのに!と彼女のようにぷりぷり怒った私。
「ぶな屋敷」家庭教師の女性がホームズを訪ねる。家庭教師に行っている家の家人の要求に不審を抱いているのだという。その後、電報で助けを求められ、ホームズとワトスンはぶな屋敷を訪れる。義理の父親=遺産目当てという図式・・・。これも最後は天罰が下ってめでたしです。

ホームズお得意の、人物観察で職業とかいろいろ当てるやつがちょいちょい挟まるんですけど、あれを読むたびに、「えっ・・・、違いますけど・・・」ってドン引きで否定されたらどうするんだろうと思ってしまいます。まあ、ホームズのことだから、上手いこと煙に巻くんでしょうけど。あの自信がうらやましい。
コナン・ドイルの職業が医者っていうのは知ってたけど、開業したもののヒマすぎて小説を書いては投稿してたっていうのは知りませんでした。家族はやきもきしてなかったのかしら・・・。


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「硝子のハンマー」

貴志祐介/角川書店

日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。すべてが不明のまま逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れる。

前の2冊をすっ飛ばしていきなり「鍵のかかった部屋」を読んでしまいました。下調べが足りなかった!
榎本登場の1作目です。ドラマでやってたけど、話の筋をすっかり忘れていました・・・。おかげで2度びっくりできた!
第一部は事件~榎本のひらめき。第二部は犯人目線での物語という2部構成です。
事件の舞台は、ロクセンビルの最上階に入る、介護サービス会社・ベイリーフ。ベイリーフの社長が死体で発見されます。死因は、昼寝の最中に頭部に受けた打撃。過去に、社長室が銃撃されてからベイリーフが入っているフロアだけ、万全の防犯対策がとられていた。さらに、受付には秘書が待機していた。人の目と監視カメラの目をかいくぐって犯人はどのように侵入したのか?凶器は何か?と謎だらけでスタートします。
青砥さんと榎本の推理の展開がおもしろかった。真相が一番びっくりなんですけど、色んな角度から推理をひろげていくのって読んでて楽しいなあと思います。解決のためのピースは揃っていたけれど、社長・業務上横領・ダイヤ・窓拭きが、強風でガタガタ揺れる窓をきっかけにつながった・・・という流れは、ちょっと強引かなあと思いました。
真犯人は、生い立ちとか読んでたらかわいそうなんだけど、榎本の言うとおり、殺してしまったら終わりだよなと思う。青砥先生は、弁護士っていう仕事柄、困っている人を助けよう!という理念は素晴らしいと思うんだけど、最後の社会に対する意見やら何やらは蛇足でした。青砥先生が頑張って、減刑してあげたとしても、彼は更正するのだろうか・・・っていう疑問が残りました。巻き添えで死んだ彼の友人が一番かわいそうだよなあ。せっかく大学に受かったのに。
ルピナスVの役割っていうのが、介護のためだけじゃなくて、横領した金品を隠すために必要だったというのが皮肉です。社長も結構なワルでした。専務もワルです。副社長もワルではないけど、そんなにいい人でもなさそう・・・。大丈夫か、ベイリーフ!
榎本って私が抱いていたイメージと違って、熱い男だなあと思った。あと、青砥先生との関係もちょっといい感じ?くらいに思ってたんですが・・・。こんなに好きだったんだー!と私の方が恥ずかしくなってしまいました。青砥先生の方は、気になる人っていうレベルみたいですけど・・・。あと、ビリヤードがうまい!オシャレ!まあ、推理しながらショットを外して、「もう1回・・・」ってないわな。オタクっぽいイメージが崩壊しました。


「ビブリア古書堂の事件手帖3」

三上延/アスキーメディアワークス

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない。これは“古書と絆”の物語。

ビブリアシリーズ、人気ですね!
このシリーズの表紙、似たようなのばっかりだから、見分けがつきにくいんだよなー。
剛力さん主演のドラマも見てました。賛否両論あったキャスティング、私も剛力さんはミスキャストだったと思います。だって・・・巨乳じゃないもん!笑。栞子さんの巨乳、重要ですよね!
この本に収録されている話は、全部ドラマ化されていました。
「たんぽぽ娘」古書交換会で起こった盗難事件。たんぽぽ娘を盗んだのは誰?たんぽぽ娘の正体は奥さん・・・とか何とかドラマで言ってたような気がするんだけど、こちらでは秘密のままでした。しかし、読んで確かめようというほどの情熱もわいてこない・・・。酔っ払い栞子さんが目の前に現れたら、きっとお持ち帰りしたくなるほどかわいいと思います。
「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」チェブラーシカ!ってひらめいたのだけ良く覚えてます。チェブラーシカの映画、観にいったなー。ワニのゲーナが好きです。ゲーナ、抜けてるとこあるけど・・・。親子関係がこじれて大変・・・な話。
「春と修羅」ミステリーとしていいなと思ったのが、こちら。宮沢賢治の「春と修羅」という作品も知りませんでした。古書ってほんと高いですよね!古書には全然興味なくてよかったなと思います。骨董もだけど、深みにはまると脱け出せなさそう・・・。昴くんがすごくいい子だったので、叔母さんと良い関係が築けるといいなと思った。振り返ると、悪いことしてる人っていないんだよなあ。価値観が違うだけで・・・。
そしてエピソード。文香がお母さんに情報を流していた張本人だった。なんでお母さんは出ていったんだっけ・・・。シリーズの最後にこの親子関係が整理されるのでしょう!
三上さんといえば、「モーフィアスの教室」とか「偽りのドラグーン」を読みたかったのに、ぐずぐずしている内に本屋から消えました。がっくり。もうブックオフしかないか・・・。


「初恋ソムリエ」

初野晴/角川書店

廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。吹奏楽経験者を入部させることに成功していた2人だったが、音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり…。『退出ゲーム』に続く“ハルチカ”シリーズ第2弾。

ハルチカシリーズ1作目「退出ゲーム」は、個性的なキャラクターたちのコミカルな掛け合いと、シリアスな物語とのギャップが自分の中で上手く処理できなくて、評価しづらい作品でした。これ、どうしたいの?って感じで。今回は、慣れたせいもあると思いますが、メリハリが効いていて楽しめました。
吹奏楽の登龍門・普門館を目指す弱小吹奏楽部。そこで奮闘する穂村チカと上条ハルタが、部員を獲得するために部員候補に起こった謎や悩みを解決していく話。「里見八犬伝」から着想したそうですが、私は「ワンピース」に似てるなあと思ってました。(初期しか読んでないので、初期のワンピースです。)
前回は、オーボエの成島さんとサックスのマレンを獲得。今回は、パーカッションのカイユを獲得。クラリネットの芹澤さんを勧誘続行中。こんな感じで、吹奏楽部も着実に成長しており、部活動の話とミステリーの2本柱で物語は進んでいきます。あ、三角関係もあったか。笑。まあ、草壁先生は常識人の香りがするので、チカとハルタの小競り合いで3年間が終わりそう・・・。
「スプリングラフィ」ハルチカコンビも2年生に!部員獲得に励む中、芹澤さん登場。音大を目指すほどの実力者である彼女が、吹奏楽部の部室に忍び込むワケは・・・?芹澤さんは、ただの気の強い娘さんにあらず。吹奏楽を逃げ道にしては、部員に失礼という武士道(音楽道?)を貫く一本筋の通った人。チカちゃんの執念に負けて、いつか入部しそうな気がする。笑。
「周波数は77.4MHz」カイユ登場。久しぶりにラジオが聞きたくなりました。地学研究会、ひきこもり、ラジオ・・・。この3つが結びついちゃうなんて!孫ガメと孫ウサギの戦いの続きを読ませてはくれまいか。
「アスモデウスの視線」電車で読んでいて、ラストの数行で泣きそうになってしまった。不意打ちでした。それにしても、なぜ盗撮なんてしようと思ったのか?気になります。同性が仕掛ける盗撮といえば、嫉妬からくる嫌がらせかなとは思いますが。ハルタの「ゴリラの首を持ってこい」にはうけた。
「初恋ソムリエ」途中まで、???でしたが、最後にはちゃんと解明されました。にしても、連合赤軍のことをそれほど理解しているわけではないので、やっぱり?は残りましたけど。それにしても、初恋研究会ってなんなんだ。暴走してるなあ。
今後が楽しみなシリーズです。


「遅くはない。」

「あの頃道で立ちどまっていた少女は、大人になって、いつだって新しい一歩を踏み出せる勇気を持っていた。」


「きょうの猫村さん4」

ほしよりこ/マガジンハウス

うそ風邪で寝込んだ旦那さまにかいがいしくケアする犬神家の奥様。夫婦の仲は元に戻るのか?

話の展開がスローペースです。
奥様が作った玉子酒でお腹をこわした旦那さま。そのとき、脳裏をよぎるのは、かつての愛人・スケ子・・・!めっちゃ未練ありありじゃないですか!笑。
一方、奥様のほうにも何か起こりそうな予感。たかしぼっちゃんの先輩の岸カオルという男が、奥様に興味津々。私、岸先輩嫌い・・・。論文の出版を勧められて、「ぼくは、カミを信じないんです。“ゴッド”も“ペーパー”も・・・」とか、奥様に「あなたが眩しすぎるから」とか言っちゃうんだもん!トリハダ!なんか、彼が犬神家をちょっとかき回していきそうな感じですね。
猫村さんは、商店街の電器屋のぼうやから、国際化の波について教えてもらいます。国際化の波がどんぶらこ、どんぶらこっと!想像の世界で、たらいに乗って海に漂っている猫村さんがかわいい。しかも、もはや遭難か漂流かって状態なのに、ネコムライスとかおすし屋さんとか余裕すぎる。国際化はABCから!
尾仁子の集会、まだ終わらないんだ・・・。というか、集会ってそんな大層なものなんだ・・・。なんか、バイクで走って終わりかなあと思ってました。
岸先輩、奥様にコンタクトを取るのかな?という感じで続きます。