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読書の記録です。

「西の善き魔女3 世界の扉の巻」

萩原規子/中央公論新社

ここからなにもかもが始まった。世界の果ての「壁」を抜け新しい運命を探しに。

本編の最終巻と、外伝その1が収録されています。
外伝は、ルーンがセラフィールドに来て、フィリエルと出会うお話です。
まず、本編の最終話「闇の左手」。無事にルーンと再会して、ヘルメス党に身を寄せるフィリエル。しかし、ブリギオン帝国の軍隊と壁の近くで遭遇することになる。トルバート経由での進軍は、フェイントだったのだ!ルーンは竜退治でカグウェルに滞在しているユーシスに知らせに。またまたフィリエルはルーンと離れ離れ。あんなに離れないと言っておきながら・・・って思ったもんですが、ユーシスに「フィリエルはぼくがもらう」と宣言するあたりはときめきました。きゅん!一方フィリエルは、やっぱり自由に生きてます。笑。時々、周りの人間がかわいそうになるくらい。まあ、その型破りっぷりが主人公が主人公たる所以なわけで・・・。
ユーシス様は本当に真面目!な感じで最後まで通しました。アデイルとの進展は・・・、フィリエルとルーンよりもさらに遅そうですなー。笑。ってか、アデイルは自分の気持ちに気づいた!のですが、ユーシス様は、まだ騎士道から抜け出てないからにゃー。なんとなく、ユーシス様はああ言っても、フィリエルのことを好きなのではないかしら・・・と思うのです。メニエールの陰謀は阻止しましたが、結局のところ女王候補が1人増えただけで終わったような・・・。真の終幕は4巻にあるので、続きはそちらで!
外伝はー。フィリエルの幼少期は複雑な家庭環境だったんだなーとしみじみ。フィリエルがこんなにのびのび育ったのは、おかみさんのおかげではないでしょうか・・・。おかみさん株急上昇。


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「我が戦場に踊れ来訪者」

秋田禎信/富士見書房

未だ行方がわからない、アザリーの手がかりを求めて、オーフェン一行はウィノナと共に最接近領の領主の元へ向かう。同時に、ティッシと十三使徒の一員・イールギットたちの2組も、領主の元へ向かっていた。

オーフェンの感想が滞っております。しかも、記憶が無い・・・。
この辺も理解があやふや~なのですが、要するに地人たちも銀月姫もゴーストだったと。ゴーストはネットワークの暴走で、誰かに故意に仕組まれたものだったと。領主がオーフェンを自分の陣営に取り込むために仕組んだことなのかな?一貫して背景には、ドラゴン種族と人間との戦いがある。銀月姫のタラコ唇に萌える・・・!
マジクが鬱に入っていても、またかあって感じであんまり気にならないもんですね。笑。悩み多き青少年ですから、彼もオーフェンも。逆に、クリーオウが思い悩む姿ってあんまり見たくないなあと思います。ムードメーカーってのもありますけど、なんか痛々しいです・・・。
ダミアンのお腹はまっ黒~。悪いところを前面に押し出してきてますね。なんてマイナスのイメチェンだ!イールギットをすごく覚えていて、なぜかというと、次の巻での彼女がとても残酷な終わり方をしているからなんだけど。ああ、ショックだったんだなーということを思いだした。オーフェンの周りの女性って、やっぱり強いな・・・。ロッテーシャはいつまでからんでくるんだろ?ウィノナも。
クリーオウとマジクって、人質になってばかりで不憫・・・。マジク、天才なのに・・・。


「面倒事は面倒ですぞ。だってかなり面倒くさいですからな」
姫の軍隊には、なごませていただきました。


「西の善き魔女2 戦いの巻」

荻原規子/中央公論新社

失ってはならない心の宝ものは、ここにある。姿を消した幼なじみを追って謎に満ちた冒険が始まる。

レアンドラの動きを受けて、フィリエルはアデイルと共にハイラグリオンの王宮に、ルーンはチェスマスターの見習いとして王立研究所へ。前半では、王宮のパーティ三昧で絢爛豪華な生活が描かれます。フィリエルは、今までで一番彼女らしくないかも。えー、続きを。彼女の素性を知るリイズ侯爵(女王の末子)に、策略のための結婚を迫られたフィリエルを守るため、ユーシスは、彼女に婚約を申し込むのです。しかし、彼女は婚約の話を蹴って、王宮を出てルーンとともに行くことを決心した矢先、リイズ候の死体が見つかり、ルーンは姿を消す。
いやー、当時はもうちょっとユーシス様にときめいていたのですが・・・。ここまで気の利かない男だったとは・・・。ちっ。残念すぎる男だ!生真面目なのは彼の美点なのですが・・・。今のユーシス様に必要なのは、情熱、パッション!ここで、ルーン×フィリエルとアデイル×ユーシスのカップリングが決定します。エヴァンジェリンは、こんなつまらないカップリングは書きませんわ!とアデイル風に不満を表明。
そして後半、フィリエルはルーンを探しに南を目指します。フィリエルの護衛として、トーラス女学校時代のイグレインが再登場。正直、政治的な駆け引きよりも、後半の世界の謎に迫る章の方が楽しめました。南には、竜と呼ばれるビジュアルは恐竜のような生物がいるのですが、見えない壁のようなもので仕切られていて、そこに不定期に現れる穴を通って南部に出現していることが判明。もひとつ、竜の一種としてユニコーンも登場します。ユニコーンを育てているのが、オーガスタ女王で、女王家とユニコーンとの関係というのもまた何か理由がありそうです。ルーンとは、無事再会を果たします。もう、こいつらはほっといて。笑。女王陛下の吟遊詩人(バード)が使った、テレポーテーション的能力は一体何なのか。今までファンタジー用語が飛び交っていたのに、突然、科学用語(分子とか)が飛び出して来たのはなぜなのか。壁とは何か・・・。最後に謎はたくさん投げかけられました。
次が本編最後。広げた風呂敷がたためていたっけなあ。


「カラスの親指」

道尾秀介/講談社

“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。

久しぶりに道尾さんの本を読んだのですが、こんな感じだっけ?と違和感を感じました。伊坂さんの作風に似ているような気がするんだよね・・・。前はこんなこと思いもしなかったような。淡白でちょっと皮肉めいた感じの伊坂風よりも、前みたいに少しどろっとしている方が道尾さんの小説には合ってるように感じました。もっとホラーを!
語り口は違っていましたが、最後のどんでん返しは相変わらずでした。ここまで騙しますか?ってくらいに、今回もやられたー。これは、ミステリ読者としてネタバレしてしまうことはできない。ですが、ここで終わるのも寂しいので、少し続きます。
「やさしい嘘」がキーワードだと思ったくらい、最後はみんないい人で驚いた。だからこそ、色々エグいことが起こっても、後味の良い終わり方だったんだろうなあと思います。1冊で何回も騙されるのはこりごりですが、この終わり方は良いと思うのです。主人公は詐欺師のコンビなので、嘘をつく場面がたくさん出てきます。私、どこかでも書いたように、嘘をつくのが超苦手なので、騙すシーンは心配で仕方ないです。心臓に悪い・・・。
テツさんが、英単語を暗記しているという設定で、物語のアクセントみたいな感じで、英単語が出てくるわけですが、それがどうも・・・。いらないような気が・・・。こういう作為的な演出はナイス!と思うときも、もちろんあるんです!でも、今回は合ってなかったなあ。


「西の善き魔女1 旅立ちの巻」

荻原規子/中央公論新社

大切なものを守れるのは自分しかいないんだ。母の形見の首飾りから始まった荒野の少女フィリエルの旅。

約6年ぶりくらいの再読。久しぶりにユーシス様に会いたくなって・・・。
セラフィールドで暮らす少女・フィリエルが、パーティーに母親の形見の首飾りをしていったことから、自分が実は女王家の血筋であることを知り、陰謀に巻き込まれてゆく・・・というシンデレラストーリー。再読してみて、世界観に関することがこんなに楽しめたなんて!という点に驚きました。女王家とか星図がどうからんでくるのか、エフェメリスってなんだっけ?博士って結局どうなったのかしら。(←全部忘れた)みたいなことが、徐々に明らかになっていくところがおもしろい。もちろん、少女マンガみたいな恋の話もそれなりに楽しめますが、ユーシス様があまりにも堅物すぎて物足りなくなってしまいました。ユーシス様、もうちょっとフィリエルに接近してくれまいか。どっきりイベントを起こしてくれないか。
グラールという国は、代々女性が治めることになっていて、現在はオーガスタ皇女の娘、アデイルとレアンドラ2人の女王候補が擁立されています。フィリエルは、父で天文学者のディー博士が姿を消し、博士の弟子で幼なじみのルーンが異端の研究(天文学)を狙う組織にさらわれた事件により、アデイルを擁立するロウランド家を頼ります。フィリエルは、オーガスタの姉妹であるエディリーンの娘なので、彼女たちとは従姉妹という関係。貴族の権力争いの駆け引きの駒として、利用されることを覚悟しつつも、上流階級の貴族たちの予想の斜め上を行くフィリエル嬢のたくましさに感心します。
女王家の血を持ちながら、女王家の人間ではないフィリエルが、自分はどう生きるのか、色々な人間の思惑に傷つきながらも模索していきます。今まで自分が何も知らなかったことにショックを受けながらも、とにかくフィリエルは前向き。そのしなやかな輝きが、物語全体からあふれているようです。
後半はトーラスの女学校編。レアンドラ登場!私、アデイルも好きなんですけど、レアンドラの方がより好きになったなあ。なんだかかっこいい。強い女性はここで養成されているのか・・・。グラールの女性は、昔のくの一みたいなもんですかね。色仕掛けあり、暗殺あり、みたいな感じで。
次は宮廷デビュー!