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読書の記録です。

「我が心求めよ悪魔」

秋田禎信/富士見書房

蟲の剣を奪われ、ロッテーシャはエドにより重傷を負った。成り行きでロッテも一行に加わり、自治都市アーバンラマを訪れる。様々な思惑が入り乱れる中、オーフェンたちは再びライアンとヘルパートの奇襲を受ける。

ウィノナが出てきましたな~。いたな~、こんな人~。最近こんなのばっかりだ~。もう、すでに物語を見失いつつあります。
前巻でばっさり殺られてしまったロッテさんの怨念がこもりにこもってまして、本筋を見失いそうになりますね。なんか、ホントはヨリを戻したいんじゃないかな~。と想像してみる。指摘したって認めやしない頑固者っぽい。しかし、ロッテの全裸にふいをつかれるなんて、オーフェンったらやっぱり初心ねえ・・・。このラッキースケベ!・・・とか言ってる場合じゃない展開なんですけど。ロッテさんのこの行動は、さんざん世話になったのに、恩を仇で返すようなやりかたで感心できない。
本筋は、ドラゴン種族とコルゴンが属する領主派との戦いに、オーフェンは巻き込まれてゆく、といったところでしょうか。オーフェンとクリーオウ、マジクは分断され、クリーオウとマジクはライアンの罠にかかります。クリーオウの意識は一体どこへ?そしてマジクはどうなってしまったのか?アスラリエルが街中に出現した意図とは?そして、最大の謎は、コルゴン何考えてんのさ?わからない人だよ・・・。
最近、本当にマジクが報われない。笑。驚異的なスピードで魔術の腕を上げているのに、まったくの役立たず呼ばわりされてるし・・・。チャイルドマン教室の生徒はもちろん、ドラゴン種族は最強だもんなー。まわりが強すぎるんだよねえ・・・。ホント、ついてないよね・・・。
ティッシ姉さん、やっと再登場!


「・・・・・・あなたは、エドと同じです」

「わたしに優しくない」


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「ブラザー・サン シスター・ムーン」

恩田陸/河出書房新社

ねえ、覚えてる?空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを。本と映画と音楽…それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生。

恩田さんの得意技のひとつに、「何でもないことを、なんだかよくわからないけど、ものすごく勿体つけて語って雰囲気を出す」があると思います。要約すると、話は3行で終了、みたいな感じ。これがそうなんですけど。課外授業で訪れた謎の町とか、ヘビの話なんか何のオチもないですよねえ。そもそも、この本自体がオチなしという・・・。ふくらし粉で一冊できあがっちゃった感があります。そんな話。
高校時代の課外授業がきっかけで、よくつるむようになった男女3人が、高校~大学時代を回想する話。紅一点、楡崎綾音は現在小説家(たぶん)。戸崎衛はメーカーに勤める会社員。箱崎一は映画監督。大学生活の4年間とは、一体自分にとってどのような意味を持っているのか・・・。別々の人生を歩んでいる彼らが、共通の出来事を色々な視点で捉えているところがおもしろいなあと思った。特に、綾音の淡白さに。衛も一も綾音のことが好きで、ちょっと当時の気持ちを引きずっているところがあるんだけど、綾音はもう昔何かあったな~程度。一に関してはノータッチ。笑。この女の残酷な冷たさが私は好きよ!
大学時代、一度も3人で会わなかったというところは、ちょっと変な三角関係が関係しているのかなあと思った。ハコちゃんの奥さんは、綾音かなーと一瞬思ったのですが、現在の勤め先は金融関係ではないし、綾音が前の職場にいた時に彼女を介して知り合ったのか、それとも全く別ルートか・・・。なぜこんなに考えているのか・・・。それが一番謎だ・・・。
1人の人生を道に例えるならば、それは寄り添うことはあっても、重なることはない、のだなあ。


「私たちは、別れるために出会ったのね」





題名から、映画よりも「太陽とシスコムーン」を連想してしまうあたり、芸術性のカケラもない自分にがっかり・・・。
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「陰陽屋へようこそ」

天野頌子/ポプラ社

王子稲荷に見守られるのんきな商店街にある日現れたあやしい店、陰陽屋。店主とアルバイトのへっぽこコンビがお悩み解決いたします。

なんか、イメージと全然違いました・・・。もっと美人なお姉さんが出てくる、大人の男女のかっこいい式神対決を想像していました。何を根拠に陰陽師=大人の男女なのかは不明ですが。笑。読み終わった後で気がついたのだけれど、ポプラ社って児童書籍がメインの出版社だっけ・・・?まあ、そんなノリの話です。
主人公は化け狐の少年、瞬太。彼が暮らす町の商店街に、陰陽屋という占い屋がオープン。占い好きの母親に連れられて陰陽屋を訪れた瞬太は、自称陰陽師・安倍祥明に正体を見破られ、口封じの代わりにアルバイトをすることになる・・・。この、陰陽屋に訪れる人たちからの依頼が物語の核となっています。祥明はインチキ陰陽師なので、占いではなく、ホスト時代に培った話術でこれを乗り切ります。家庭の不和はどこにでもある話で、いちいち気に病むなとか。
まあ、一つ一つのエピソードよりも、瞬太をめぐるクラスメートの関係や、祥明の家庭の事情などの方がおもしろかったなあという気がします。瞬太本人は、化け狐である自分の正体を、うまく隠せていると思ってるんだけど、みんなにはバレバレなところとか。瞬太くん、とにかく素直でかわいいのです。今時、こんなかわいい中3男子いません!母親は嬉しいだろうな~。反対に、祥明の母親はかなりの傍若無人っぷりにひいた・・・。彼は結構意地が悪いなあと感じることがあったのですが、その歪みはここからきたのか!と。
祥明は、実は本当は、由緒正しき陰陽師の家柄かなんかで、霊感も占いも本物というオチなんやわーと思っていたけれど、違うんですねえ。がっかりー。卒論のための勉強と、実際の修行は違いますもん。結局インチキか!


「短劇」

坂木司/光文社

たとえば、憂鬱な満員電車の中で。あるいは、道ばたの立て看板の裏側で。はたまた、空き地に掘られた穴ぼこの底で。何かがあなたに、話しかけていますよ。坂木司の奇想短編集。

短編と言っても、ショートショートくらいの短さ。
坂木さんの作品といえば、ひきこもり探偵の偽善さを始め、とにかくいい人が出てくるいい話という先入観がありました。しかし、この本を読んで意外な引き出しにびっくりさせられました。ブラックですな~。説教めいた話がいけない、と言う気はありませんが、少し人間の黒い部分が見えた方が私好み・・・。
さっ、それでは、印象に残った短編をいくつかチョイスしたいと思います。
「目撃者」ベタな展開でしたが、勧善懲悪は、とてつもない安心感があるのです。悪が罰せられて良かった。明日も正直に生きよう!
「ケーキ登場」この短いページ数の中で、群像劇が描かれているところがすごい。いいところで終わってます。年下から告白されるというシチュエーションにヨダレが出そうだなんて、そんなこと・・・。
「しつこい油」怨念に敬意を表したい!そんな性悪女に私もなってみたいもんだ・・・。落としてみたいもんだ・・・。(遠い目)
「肉を拾う」これもSF的ベタさ。しかし、きっちり騙されてしまうあたり、自分は律儀だなあと思います。そっかあ、食用トカゲかあ・・・。そんな未来、いらんわ!
「ゴミ掃除」こんな仕事人がいたら・・・と一瞬でも思ってしまった自分を猛省した。
「物件案内」おばさーん、ぜひ、私にも良い物件を(以下略)。
「壁」恐い~。壁の中に誰か住んでるというオチかと思ったら、こっちの方が恐い~。
「秘祭」ああっ、痛い!自分が死ぬと同時に、恥ずかしい思い出も爆破できる装置はないだろうか。ブログも消滅しないだろうか。
「いて」私のトラウマ映画、プレデターを思い出す・・・。透明って、ほんとこわいわー。しばらく歪みがないか、じっと目をこらしていたなあ。



「我が運命導け魔剣」

秋田禎信/富士見書房

レジボーンを後にし、ナッシュウォータ市に滞在中のオーフェン一行。次の目的地を決めかねていた彼らは、市内の剣術道場の抗争に巻き込まれる。

ロッテさんだ!最初は大人しそうだったのに、実はおっとろしい女子なのよ~。女難の相が出ているオーフェンは、姉たちを始め、クリーオウやら色々な女性に振り回されているのですが、みんな結構にぎやかであっけらかんとしてますよねー。それが、ロッテさんは静かに恐いんです。きっと、怒らせたら、存在無視される感じですよね。抉るタイプですね。
東部編は、ロッテさんの父親が持っていた剣・フリークダイヤモンドを巡るドラゴン種族と、エド(コルゴン)、ロッテさんの三つ巴の戦いから始まります。ライアンとかヘルパートとか、名前を見ると思い出すなあ。けど、話の展開はさっぱり・・・。
待ってましたのコルゴンが登場!と思ったら、結婚してましたとさ。改めて挿絵を見ると、なかなかのイケメンですよね~。当時はロン毛が駄目で、今も好きではないのですが・・・。それを差し引いても、確かに美形だな、コルゴン・・・。抜けてるけど・・・。ロッテのエドに対する憎しみは、不思議な愛の形だなあと思います。めっちゃ歪んでません?笑。殺したいほど愛してる~。斬られてしまったが!
ライアンがクリーオウに感じたのは、嫉妬だったのかなあと思ったりした。クリーオウはただのお嬢様ではなくて、鋭い指摘もできるし、自分の主張を持った芯の強い女の子だと思う。けれど、恵まれた環境で育った彼女には、人間のあらゆる負の部分を本当の意味で理解することはできないのだ。何故なら、それは体験することではじめて理解できるものだから。今までのように、まっすぐな思いをぶつけてそれで解決できるような相手ではないだけに、クリーオウが揺さぶられています。同時に、レキとの別れの時も近づいているんだなあ。・・・って、マジクの出番が少ない!?笑。薄幸・・・!
しかし、オーフェンも夫婦喧嘩に巻き込まれるなんて、なんてツイてない・・・。


「持っていけばいいわよ!」

「そんなもの、持っていけばいいじゃない!」