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読書の記録です。

「田村はまだか」

朝倉かすみ/光文社

深夜のバー。小学校クラス会の三次会。四十歳になる男女五人が「田村」を待つ。待ちながら各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たち。それにつけても田村はまだか?

表紙が田村さんかと思っていたら、「チャオ!」のマスターだった・・・。なぜ田村を持ってこない。
私は、まず小学校の同窓会の三次会まで残ることがないだろうなあ、と思っていました。小学校でそこまで強烈な記憶はないから・・・。クラスメートの前で公開告白なんて、自分が小学生の時には考えられなかったなあ。
当時から異様なオーラをまとっていた田村に、どうしても会いたい5人がお酒を飲みながら「田村はまだか」とか言っている話。う~ん、男子生徒にちょっと惹かれてしまう、いいちこさんのエピソードが印象に残っています。あと、「パンダ全速力」という2章の題名がおもしろいな、と。
人間40年も生きていれば色々あって、簡単には人に打ち明けられないことも増えていくものなかな、とぼんやり思っていた。とにかく文体が独特で、慣れないままでした。歯切れがいいのかな・・・?地の文で、いちいち人物名をフルネームで出すところが気になりました。ちょっと読みにくかったかも・・・。
最後は、本当にあっけにとられている内に終わってしまいました・・・。なんだこの変化球・・・。ハッピーエンドとはまた違っていて、こんなことなら普通に大トリで田村登場!で終わっていた方が良かったな・・・と思ってしまいました。だって、交通ルールを破った田村にも問題はあるわけで。


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「ロードムービー」

辻村深月/講談社

誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の三編を収録。

「冷たい校舎の時は止まる」を読んだのはブログを始める前なので、5年前くらいになります。「子どもたちは夜と遊ぶ」の感想を見直した限りでは、くどいと感じていたようです。おお、いっちょ前に。笑。
その「冷たい~」のスピンオフ作品らしい、という前情報はありました。ありましたがっ!そんなに記憶力の良い読者などごくわずか!と思いたい。ええと、でも、特に問題なかったです。それはそれと思えば。
「ロードムービー」では、子どもの友情を。タカノのおじさんの家に、彼女がいた時のあのいたたまれなさが良くわかる。本当に、恥ずかしくって消えてしまいたい!「道の先」では、ひねた女子高生と塾のバイトくんの話。これが一番好きだなあ。そっと背中を押せる人ってすごいなあと思います。私、思春期はそのようなステキな大人になりたいと思っていたのですが、残念ながら、大人の私は、ろくなアドバイスができたためしがありません。むしろ、今どきの女子高生から恋のアドバイスをして欲しい。「雪の降る道」正直、泣きながら訴える子どもが苦手なもんで(人でなしみたいだなあ)、いい話なのは良くわかる。わかるけれども、うっとうしい・・・。という感じでした。「冷たい~」のプロローグに続くエピローグはわかりやすくて好きだ!
同じタイプの叙述トリックの多用はやめた方がいいって、思ってるんですけどね。登場人物の心情を描く手腕はあがってるけれど、最後の落としどころで、「またか・・・」とがっかりするのは、もったいない。
肝心のリンクがよくわからず、ネットで調べて「ふ~ん」と納得しましたが、いつかもう一回読もうと思いました。世の中にはたくさんの本があふれていて、しかもおもしろいから大変だ。一生かけても、本を読む時間が足りない。・・・とか言って、実はドラマを見る時間が増えたからなんだけど。


「別冊図書館戦争Ⅰ」

有川浩/アスキー・メディアワークス

「図書館戦争」のベタ甘全開スピンアウト別冊シリーズ第1弾。堂上篤、笠原郁の武闘派バカップル恋人期間の紆余曲折アソート。登場人物を中心に、図書館の比較的小さな日常事件を絡めて綴ったラブコメ仕様。

最近気分が乗らず、感想を書き逃しています・・・。記憶力悪いのにー、と反省。ちょこちょこ書いていかなきゃ・・・!
言わずと知れた「図書館戦争」シリーズ。私の友人も超はまって、旅行先にまで本を持ってきてました。あのハードカバーを!私も読みたいんですが、今さら買うのも・・・・って感じで。そんな時図書館にあった別冊。漫画(ふる鳥弥生さんの方)は読んでたんで、まあ、基礎はできてるかなあ~とか思いながら借りてきました。
ベタ甘ラブコメとは知っていましたが。身をもって体験していましたが。両思いになってからは、漫画のような恋人イベント続出なんだ~、と笑けました。チューでお泊りで、カレシの部屋で、両親にご挨拶して、同棲するなら結婚しようぜ!と。はは・・・。これだけ丸々一冊だと、のろけだけ聞かされて正直しんどいところを、図書館の事件エピソードに大分救われました。
堂上は、結構いい男なはず。ぶっきらぼうだけど、いざって時に優しいし、実は彼女にベタボレとか、私のツボを押さえているハズなのに、なぜかはまりませんでした。なんでー?小牧はね、もとからタイプじゃないから。(えらそうに。笑。)意外に手塚に胸キュンでした。すごくいい奴ですよね。芝崎と上手くいくといいなあ。
郁はかわいいけど、ちょっとあざとい。というのは同性目線だからでしょうか!かわいくなれない女のひがみでしょうか!「二十六歳純粋培養乙女・茨城県産」にはうけた。ぴ、ぴったり・・・。あと返り血あびて、いい顔して笑うとこも良かったなー。
なんか、斜に構えて読んでしまったのが敗因かしら。恋愛サイドはそんな感じでしたが、笑いの部分はおもしろかったし、図書館を巡る事件も小技がきいていて、ただのつけあわせって感じがしなくて良かったです。さて、次は本編が先か、Ⅱが先か。どっちでもいっか。
今ちらっと調べたら、ふる鳥さんの漫画打ち切りになったそうで。残念~。


「ハリー・ポッターと死の秘宝」

J.K.ローリング/静山社
松岡裕子/訳

7月31日、17歳の誕生日に、母親の血の護りが消える。「不死鳥の騎士団」に護衛されてプリベット通りを飛び立ったハリーに、どこまでもついていくロンとハーマイオニー。一方、あれほど信頼していたダンブルドアには、思いがけない過去が。

とうとう最終巻。
最初から、私の大好きなヘドウィグさんが大変なことになって、読む気力が萎えそうになりました。
色々な謎が明らかにされます。特にスネイプとダンブルドアの!2人とも腹の中で何を考えているのかよくわからない印象がありました。スネイプは悪人なのか?ダンブルドアは善人なのか?この本で、スネイプには人を愛する心と誰にも真似できない勇気があることが明らかになった。また、ダンブルドアにも、不死を求める魔がさした瞬間があったことも・・・。人は善い悪いでは分けられない。気高さと醜さが同居しているのが人の心なのだなあと思いました。この本でやっと2人が人間臭くなって、とても好きになりました。しかし、ダンブルドア、死んでも絵の中で動きまわっているため、全然死んだ感じがしないぞ。笑。
物語は、ヴォルデモート軍団とホグワーツの全面対決を迎え、多くの犠牲が出ます。この作者は、一体何人登場人物を死なせる気なのか!?とびっくりしました。うーん、重傷とかで良かったんじゃないかなあと思ったり。ごにょごにょ。ヴォルデモートの最後はあっけなく、「あ、実は小物?」的感想を持ってしまいました。ハリーとヴォルデモートの関係は確かに謎がとけましたが。
ハリーとジニー、ロンとハーマイオニーのカップリングに落ち着くとは、1巻を読んだ時には想像もつかなかったなあ!最終巻は、学校を出て、3人で逃亡生活を続けるのですが、ケンカしながらもハリーに寄り添う2人がとてもいい奴らだと思いました。なかなか難しいですよ、ずっと一緒にいるって。
最後に彼らのその後が収録されているのが良かった。ハリーが子供にスネイプのことを「勇敢」と語ったり、スリザリンに否定的なコメントをしなかったのが、彼の成長の証というか、戦いを経た貫禄のような感じがした。ハリーの父親はあんまり好きになれなかったけれど、ハリーはいい男になったと思う。(えらそう)
思い返すと、ダドリーが最後に少しだけいい奴になったのが良かった。意外に嬉しい自分を発見。また最初から読み返したいなあ。


「本格ミステリ09」

本格ミステリ作家クラブ編/講談社

表紙がにゃんこだ~。
「しらみつぶしの時計」論理的とは言いがたい私の頭脳が、パズルについていけるはずがない。最後のオチまで呆気にとられていました。こんな就職試験が無くて、良かった・・・。
「路上に放置されたパン屑の研究」日常の謎系で、好きな設定だなあと思っていたら、違う方向性にがっくり。
「加速度円舞曲」麻耶さんが普通のミステリを書くと物足りない。貴族探偵とか普通やん。本格ミステリの形式を踏襲しちゃってるよ、何コレ!?(超失礼)いえ動機が痴情のもつれなんてありきたりとかそんなことは!
「ロビンソン」「ジョーカー・ゲーム」おもしろそうですよねえ。結城中佐は出てきませんでしたが、回想での彼の氷点下な口調がとても良い。
「空飛ぶ絨毯」全く意図の読めない質問をして、「それを聞いて、推理が確信に変わった」的なセリフを言ってみたい。あと、被害者は後ろ暗い所があるから訴え出なかったのかしら。それともただのいっちゃってる人なのかしら。どちらにしても、コワイ。
「チェスター街の日」確かにそうすれば説明はつく!が、美鈴との邂逅はご都合主義全開だったなあー。しかし、そんな話を鵜呑みにした挙句、常人では考えられない推理を自信満々に語るなんて、安楽椅子探偵って変な人だよなー。
「雷雨の庭で」ハシゴで不法侵入を試みるおっさんもすごいが、おっさんごとハシゴを倒した人もすごい。変人VS変人。
「迷家の如き動くもの」まあそんなことだろうと思ったよ。というオチですが、何かに追いかけられているシーンが多かったため、とにかく読後疲れた・・・。
「二枚舌の掛軸」ツインテールの教授につっこみたかった。教授ならば、萌えよりもインテリジェンスを優先させるべきではっ!?茶父さん、どっかで見たことあるかもーと思っていたら、「08」での四枚のカードに出てきたあの人?裏表裏表がわかんなくなって困った。