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読書の記録です。

「きょうの猫村さん5」

ほしよりこ/マガジンハウス

心もときめき、お肌もピカピカ、綺麗になった奥様の美の秘密は、もしや岸先輩との恋のフェロモン効果? 一方、宿命のライバル久との頂上決戦に臨んだ尾仁子。矢も楯もたまらず現場に助っ人よろしく乗り込んだ猫村ねこは、思わぬアクシデントに巻き 込まれ、人生(猫生?)最大のピンチに。

岸先輩が何やらちょっかいを出して、奥様の心も穏やかではない様子。同級生のお母さんって、結構な年上。・・・アンタは綾部かっ!
今回の大事件は、尾仁子の集会ですかね。久との対決に負けた尾仁子は、五月雨連合の解散を決意することになります。・・・どうでもいい・・・。
スケ子に未練たっぷりな旦那さま。スケ子のお店って、犬神家の近くだったのか!徒歩で行けるくらいだし・・・。なんてしたたかな女・・・。
また、スキャナーをひっぱりだして、あれこれやってみました。うーん、私もスキャナーもパソコンもロートルなので、これが限界ですー。ナナメだったり、歪んでますが、お許し下さい・・・。
自己紹介風に編集してみました。

①村田家政婦、猫村ねこ!ヨロシク!
 

②歌が好きです!


③芸達者です!


③自然に溶け込めます!
 


④お毛毛の手入れもバッチリです!
 

ああ、猫村さん、かわいすぎる・・・。笑。


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「体育館の殺人」

青崎有吾/東京創元社

放課後の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。外は激しい雨が降り、現場の舞台袖は密室状態だった。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のため、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に・・・。

鮎川哲也賞受賞作品。受賞時は現役大学生だったそうです。(現在は卒業)若いな~。
殺人事件の舞台はある進学校の体育館。放送部の部長が遺体で発見される。旧体育館に早めに到着しており、なおかつ殺害の機会があるのは卓球部の部長だけだった。部長の無実を信じる部員の柚乃は、学校のテストで9科目900点満点・首位の裏染天馬に事件の解決を依頼する。
ロジック重視のミステリ。動機も一応はありますが、動機からのアプローチは難しいと思います。私は普段動機とか、怪しそうな雰囲気から犯人を予想する読み方をしているので、純粋にロジックだけで犯人を当てるのは難しいな!と思いながら読んでました。現場の証拠から、犯人の条件を洗い出し、消去法で犯人を追いつめていくラストはわくわくして一気読みでした。
しかも、ロジックもシンプルで、理詰めとしては弱いという指摘もありましたが、非常に理解しやすかったですし納得がいきました。私は、外部関係者のセンを全部消す方に注力しても話がくどいだけなんで、一定の説明があれば、あとは暗黙の了解で(犯人は関係者の中にいるという)進めちゃっていいんじゃないかなと思います。ゆるい性格全開ですね。笑。
キーポイントは傘・リモコン・リヤカー!舞台装置も普通の体育館で、上に放送室の小部屋があるっていう・・・懐かしい!誰でもぱっと思い浮かべられる小道具を使っての謎解きが、いいなあと思いました。特に、傘からあれこれと推理をめぐらすのは、おもしろいなと。傘は犯人があらかじめ用意したものなのか?わざと置いていったのか?傘が置かれたポスターの絵の具がにじんでいなかったことの意味するところは?リヤカーはちょっと苦しいですが・・・。あれしかないかー。
裏染天馬のキャラクターについては賛否両論あるようですが、私はもうどうでもいい感じです。(←ひどい)これが、仮にミステリ部分がズタボロだったら(受賞してないけど)、天馬のアニメオタクキャラはおかしいとか、学校に住んでるなんて無茶やろとか、関係者の兄が警察って・・・とか、まあ、色々つっこみまくってたと思います。でも、そんなのどうでも良くなるくらい謎解きがおもしろかったので、多少キャラクターの演出が過剰でも特に文句はないですね。ポアロだって叫びながらカボチャ投げてたし。笑。いいんじゃないの、アニメオタクでも。
エピローグで意外な真相が・・・と同時に、私にとっての一番のつっこみどころが。
生徒会長ってそんなに魅力的な役職でしたっけ?毎年、生徒会選挙のときは、「こんなめんどくさいことをやりたがる人がいるなんて!」という驚きでいっぱいでした。そんな学生でした(遠い目)。


「夜の底は柔らかな幻」

恩田陸/文藝春秋

特殊能力を持つ“在色者”たちが、“途鎖国”の山深くに集まる“闇月”。殺戮の風が、次第に暴れ始める・・・。殺人者たちの宴が、幕を開ける。

超能力者、バトルロイヤル!
という話だとは思ってなかったもんで、イロやらヌキやら、ここどこ?って感じでした。しかし、そこはさすがの恩田さん、巧みな言葉づかいから紡がれる途鎖という場所に、ぐいぐいひきこまれていきました。超能力といえば「常野物語」ですよね・・・。あれ、あんまり合わなかったんだよな・・・。最後は投げっぱなしで終わるのかな・・・。とか色々な不安が頭をよぎりましたが、飽きることなく、上下巻読み続けることができました。
主人公の有元実邦は、途鎖に潜入捜査官として潜入する。実は、実邦は途鎖の出身で逃げるようにここを出ていったのだ。途鎖に潜入した彼女の真の目的とは・・・?
そもそもの発端は、葛城・神山・青柳の3人が幼少期に山で行われた「訓練」。イロは超能力のようなもので、これを生まれながらに持っている人を「在色者」と呼ぶ。研究者の屋島は、このイロを子供のうちから訓練である程度制御できるようにする活動を行っていたが、それにも限界があった。そこで、もう1人の研究者・神山が独自の訓練法を考え出した。それが、途鎖の山(霊峰みたいな感じ?)にある水晶筋の影響を受けながら、イロをパワーアップさせるという方法だった。しかし、この方法は弱いイロを持つ者には逆効果で、犠牲になる子供が出てくる。そして3人はある決断を下すことになる・・・。この体験が、「彼」の始まりなのかなという印象です。
この途鎖の山には、ソクというボスがいて、この支配者を倒して成り上がることができる期間(闇月)ってのがあるらしいです。「かかってこいやー」みたいな感じかな。登場人物たちは、みんなソクに用事があるのでお山に登ります。目的に邪魔な者は潰しあい。結構、さっくり殺してるので、恩田作品の中ではダークな部類に入るのかなー。
登場人物が多いせいもありますが、主人公の実邦の影が薄かったなあ。葛城のツンデレとか軍(いくさ)のおネエキャラ方がインパクトが強かった。あと屋島先生。笑。屋島先生が天井からぶら下がっていたり、ガラス窓にはりついているお姿を想像するだけで、笑える・・・。なんでや。葛城って、実邦のことが大好きなんだけど、実邦は神山が好きで・・・神山は自分以外は駒扱いという歪んだ愛のトライアングルも楽しめますよ!
登場人物それぞれが何かしらの結びつきを持っていて、腹を探りあいながら進んでいくところが面白かったです。疑心暗鬼を書くのがうまいですよね!(←ほめてます。笑。)最後の最後までみんなのお目当てのソクが出てこないので、まさか山奥でミイラになってました。チャンチャン・・・じゃないよな?とハラハラしてたんですが・・・。ちゃんと登場したので、一安心。土砂崩れが起こったり、最後は派手にぶっ壊して、最後は「ほとけ」さまが出てきてご来光~。何が何やらという感じですが(笑)、まあまあ伏線も回収してそれなりに収まったんじゃないかな、と思います。
屋島先生が何に気付いたのか、最後まで明言されなかったのが残念です。屋島先生のほほえみ・・・!


「坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー」

/光文社

読書家としても知られる坂木司が、今いちばん読みたいテーマを、いちばん読みたい作家たちに「お願い」して、作った、夢のようなアンソロジー。和菓子モチーフの新作短編集。

同シリーズの「ペットのアンソロジー」がなかなか良かったので、他のも読んでみようと思ったしだい。ネームバリューのある方をこれだけ集めるってすごい!
「空の春告鳥」(坂木司)アンちゃん再登場!「和菓子のアン」は坂木作品の中でも好きなので、アンちゃんにまた会えて嬉しかったなー。休日に出かけたデパ地下の和菓子売り場で、店員に対して怒ったおじさんが言い放った「飴細工の鳥」とは何を意味するのか・・・?まだまだ修行が足りないのはみんな一緒。足りないものは、補えばいい。坂木さんのお仕事話は、さりげないエールが込められていてステキだなあと思います。
「トマどら」(日明恩)響きだけで、猫を連想してましたが、全然違いました。主人公のもとには、気に入っている和菓子屋から、定期的にどらやきの詰め合わせが送られてくる。ある事情から、主人公が和菓子屋にいけなくなったためなのだが、そのある事情とは・・・。日明さん、久しぶりだなー。確か偽善的な感じが好きになれなかったと思うのだけど、これは結構良かったです。お姉ちゃんはなんだかんだで妹を許したんだろうなあ。これからも苦労しそうな姉がかわいそう。さて、トマどらとは・・・?
「チチとクズの国」(牧野修)はじめましての作家さん。人生に行き詰まり、生家で自殺を試みるが失敗した主人公。そこに死んだはずの父親が現れる。私も大人になってから和菓子に目覚めたクチなので、その気持ちは良くわかった。餡子ってなかなかいけるなあっていう。
「迷宮の松露」(近藤史恵)まさかのモロッコ!仕事に疲れ果てた私は、モロッコで長い休暇を過ごしている。偶然出会った和菓子と祖母の思い出、モロッコのお菓子が交錯して、疲れた心をほぐしてくれる。松露って、キノコっていう意味なのかー。勉強になりました。
「融雪」(柴田よしき)柴田さんのも久しぶり。これは、話自体は昔の恋人がよりを戻すだけなんだけど、料理がおいしそうだった。ランチ食べに行きたい!キッシュ大好物!大根のステーキとかたまらん~。デザートの牛乳かんもおいしそうで、自分で作ってしまいました(こんなことは稀)。イチゴとミカンと2種類。私もミカンの方が好きだなー。
「糖質な彼女」(木地雅映子)はじめましての作家さん。ひきこもりの主人公が、病院で元アイドルに誘われて作業療法(和菓子作り)に参加することになる・・・という話・・・。なんだこの設定は・・・。言いたいことはわかるけど、話としてはおもしろくなかった。
「時じくの実の宮古へ」(小川一水)小川さんの本、気になってるんですが、いまだ読めておりません。温暖化が進み、日本の西一帯は人が住まなくなった未来。和菓子のルーツを求め、父と工次は宮古を目指す。和菓子・・・宮古島・・・?ではなく、都=京都=和菓子だった。残念ながら京都は焼け野原になっていたけれど、和菓子はこれからも進化を続けるのだと思う。世界観はおもしろかったけど、どうも話には乗れなかった。チョコは必要ないような・・・。
「古入道きたりて」(恒川光太郎)恒川さんのも久しぶりだなあ。戦友から聞いた古入道の伝承。老境にさしかかった主人公は、古入道を求めて山に分け入る。唯一、テーマ度外視の作品。笑。もののけ姫みたいな雰囲気です。コダマ出てこないけど。
「しりとり」(北村薫)北村さんの本も色々読みたいんですが、いっぱいありすぎて、却ってきっかけがつかめないという悪循環。作家の私は、古いつきあいの編集者から彼女の夫が病床で作った俳句の話を聞く。それは、言葉の間に和菓子を置いたものだった・・・。北村さんのミステリはいつも上品で感心してしまいます。シンプルな謎解きですが、雨の日に出会った2人の初々しさ、みずみずしい輝きであふれていました。そして、今も同じようにあなたを大事に想っている。ってことなんだろうなあ。いい話でした。
「甘き織姫」(畠中恵)主人公の学生時代の友人から、相談の電話がかかってくる。彼は職場の後輩にひとめぼれし、プロポーズの意趣を込めて和菓子を送ったのだが、彼女からの返事は和菓子のお返しだった・・・。和菓子の意趣返しに込められた意味を推測する話なのですが、串カツがやたらとおいしそうだった。百絵さん、うちにも作りにきてー!御岳くんの意味不明な自信が、理解不能。橘さんに同情します。しかし、上司にセクハラの報告もせず、粋に和菓子でお断りとはできたお嬢さん。御岳くんにはもったいない!身の程知らずだね!
さてさて、残るは本屋さんのみ。


「ダメをみがく」

津村記久子・深澤真紀/紀伊国屋本店

最初の会社をパワハラで退社した芥川賞作家と、150社以上就職活動と転職活動をした経験をもつコラムニストが、世間知らず・不器用、KYなままでも、なんとか社会で生き延びていくための技術を語り尽くす。世の中をすいすい渡っていけないことに悩む、すべての女性に捧ぐ。

津村さんの本はエッセイと小説を1冊ずつ読んだのだけど、事務員の日常だけで十分おもしろいもんだなあと感心した記憶がある。津村さんと深澤さんの仕事や生活における女性についての対談集。自分は地味で女性として・・・うーん・・・・という残念な感じなのだけど、そもそも、この「女性として残念」と思うこと自体が、一般的に「女性とはこうあるべき」というカテゴライズに自分が縛られている証拠かなと思います。
お二人は、言うほどダメダメというわけではなくて、ただこのカテゴライズからはずれているというだけ・・・なんですかね。津村さんは、マイペースな考え方がいいなあと思って読んでいたんですが、深澤さんは、何か力強い?というか・・・「私たちってダメだよね!」と何度も力説されると、そんな一生懸命ダメダメ言わんでも・・・という気持ちにはなりました。笑。
おそらく大まかな結論は、みんながもっと他人に対して寛容になれたらいいよねー。という話でいいと思います。自分にも優しく、他人にも優しく。がんばれる人は、がんばったらいいし、そんなにたくさんのことはできない!という人は、ほどほどのことをしたらいいんだよね。それを、お互いの立場の人が尊重しあっていければいいなと思います。今の日本は個々が自由なライフスタイルを実現するという流れとは逆行してて、それが残念ですね・・・。
「子供がいないからわからない」というのは、子供がいない女性は誰しも一度は言われたことがあると思います。それを言われると、もう、何も言えないですからね!「じゃあ、子供の話すんなよ!」とも言えないですからね!しんどい。ちょっとその部分を抜粋。

「津村:そうやって、自分が持ってるものを見せて、「これを持ってないのはあんたが悪い」って言いたがる人はいます。それがわりと根っこに近い部分の、家族がうまくいってるとか、子供がかわいいとかになってくると、もうどうしようもないし。
 深澤:どうしようもないよね。
 津村:その人がそう見られたいっていうその言い分を信じるしかないし。でもそんな運の要素もかなりあるものを持ってない人に「持ってないからあんたはダメ」って言う人なんて、見上げたもんではないと思いますけどね。
 ~中略~
 津村:私は、子供の話を聞くのが好きなんで、わりといろんな人に訊くんですけど、単純に「うちの子供はこういう生活ぶりである」っていう個人の話は楽しいし興味深いです。ですが、「子供を持っている自分」を属性化して相手に勝とうとするっていうか、それを持ってない人を見たときに「自分はうまくいってる」ってことを言って場の序列をつくろうとする人は、やっぱなんかありますよ。そういう人がしゃべってきたときの営業トークみたいなの持ってたらいいですね。
 深澤:たしかに営業トークで流すしかないですね、「ほんとに羨ましいですよ」とか。
 津村:私が、社会人になってたくさん心にもないことを羨ましがってきたように(笑)。」

すげー、よくわかる!笑。まあ、ここまで極端な人は珍しいかもしれないですが、「子供はいいよ」とか「結婚はいいよ」とか。反論したら負けなので、できることは愛想笑いだけ。つらいね・・・。
他に、私は先輩から「女に生まれたからには、子供産みたいよね」と同意を求められて、びっくりしたことがあります。その人にとっては、そこが目標なのかな?とか、出産はしなければならないこと、って考えるのってしんどくないかな?と、理解はできるけど同意はできない。笑。こういう人が頑張って、どんどん子供を産んだらストップ!少子化!になるなーと思っていたら、子供1人で離婚しました。まあ、そんなもんなのかもしれません。
津村さんの、「とりあえずノートに書く」は実践したいな。周りに歩調を合わせるのに疲れたときに読むといいかもしれません。最後に、津村さんの名言をどうぞ!


「大人だから耐えてやってるんだよ、調子乗んなよ!」