忍者ブログ
読書の記録です。

「「思考」を育てる100の講義」

森博嗣/大和書房

「考える」うえで、何を発信し、どう受け止めるのか? 累計1300万部を超える人気作家が説く、自分だけの思考を育てるヒント!

率直な物言いがステキな森さん。
最近、おもしろい人に会ってないなーと思い、森さんのエッセイを読んでみようと思ったのでした。自分もまあまあ普通の人なので、他人におもしろさを要求するのもワガママだよなーと思います。・・・が、それにしても、今の職場の人々はザ・真面目!すぎやしないか・・・。グチグチ・・・。
まあ、で、久しぶりに森さんのエッセイを読みました。そして新たな発見をしました。森さんは、話の切り口がおもしろいのですが、着地点は至極まっとうだなと。「ふーん」とは思っても、「おおっ!」という目からウロコ的な話はあんまりなかったような・・・。そもそも、講義とか題名につけちゃってますけど、これ、ただのエッセイですからねえ。ちょっと期待ハズレでした。
これまで、森さんの育児の話は読んだことがなかったので、「ああ、子供いたんだ」と森情報がひとつ増えました。あと、シェルティも2頭になったんですねえ。あんまり作家さんって、印税の話しないですけど、森さんは結構オープンな感じですよね。さらっと、もうお金たくさん稼いじゃったよって書かれると、イラッと来ます。笑。大学はとっくの昔に退職し、執筆は1日1時間、あとは趣味というまさに「人生の楽園」的生活を送られているようです。しかし、執筆1日1時間って・・・。いや、私は小説書いたことないし、わかんないけど、作家のイメージからかけ離れすぎてる。笑。時間と質は必ずしも比例関係にないと思うけど、それにしてももっと作品に心血を注いでいると形だけでも言ったらいいのに。


PR

「ゴーストハント5 鮮血の迷宮」

小野不由美/メディアファクトリー

増改築を繰り返し、迷路のような構造を持つ巨大な洋館。地元では幽霊屋敷として名高く、中に入った者が行方不明になる事件が連続して起こる。この館を調査するため、二十名もの霊能者が招集された。複雑な内部を調べていた麻衣たちは、館内に空洞があることに気づく。次々に姿を消す霊能者たち。やがて明らかにされる、館の血塗られた過去。

これは怖かった!正直、このシリーズはそんなに怖くないなと思って読んできましたが、今回は今までとちょっと毛色が違いました。なんせ、学校の怪談じゃないし。
今回は、元首相が所有している洋館に関わる話で、ナルの師匠から依頼を受けていつものメンバーで洋館に泊り込みで調査を行うことに。この洋館に入った人が失踪する事件が続いたため、心霊現象の調査という名目で、霊能者や学者さんを集めていて、ナルたちもそのうちの1グループ。今回は、登場人物が多くてイメージが描ききれませんでした。
ほかの霊能力者たちが、オカルト的手法でアプローチするのに対し、あくまでもマイペースに機材を持ち込んだり計測をしたりするSPRの面々。最終的にはこの科学的アプローチが功を奏し、隠し部屋の存在が明らかになるわけだけれども!あまりにも部屋がありすぎて、このお屋敷がいったいどれほどの規模の大きさなのか、ちょっと掴みにくかったですねー。見取り図があればいいのに・・・と思ったけど、わかりやすい見取り図を作るのは不可能ですかね。笑。
吸血鬼・ヴラドを見習って(?)生に固執した、ご先祖さまが起こした数々の罪。もう頭がおかしくなっていたとしか考えられないです。そうじゃなきゃ、血のお風呂になんかつかれませんよう。ガクブル。
今回も麻衣はひとつ芸を増やして(ぼーさん談)、大活躍でした。夢の中とはいえ、首をかき切られる夢なんて怖すぎる!前回に引き続き、怖い思いをしている麻衣に同情します・・・。実際に参加者の中から首を切られて殺された人が3人も出たわけで、実際に死亡者が出たのはこの巻が初めて。部屋に積み上げられてたとか、かわいそう・・・。
最後にもひとつどんでん返しが。結局、ヴラド(浦戸)の除霊はなされず(というか不可能)、どうにかするなら燃やすか、ヴラド自体は屋敷から出れないので、このまま封鎖するか・・・という結論に落ち着いた(はず)。そもそも、今回の依頼は除霊ではなく、この参加者の中に有名霊能者の名を騙るニセモノがまぎれているので、それを明らかにすることだったそうなんです。それはクリアできたので、問題ないとナルは言うのですが・・・。なんかヘリクツだよなーと。
麻衣の家庭の事情も明らかに!・・・なったんだけど、孤児とか極端でしょ・・・。だからバイトのために、学校休んでもOKとかありなんだろうか・・・。事情が事情なだけに、いまいちツッコミにくい。
安原さん、大学合格おめでとう!未来の官僚!腹黒そうだし、ピッタリだよねー。


「聖なる怠け者の冒険」

森見登美彦/朝日新聞出版

一年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが・・・・。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしなく長い冒険が始まる。

図書館で8ヶ月待ちでした。みんな、ちゃんと返却日守ってる?って思いたくもなります。
で、この本、評価が二分に分かれてるな~という印象を受けました。好きな人は好きだけど、世界観に馴染めなかった人は楽しめない・・・という感じでしょうか。私は久しぶりのモリミーワールドを堪能させていただいて、大変満足でした。
表紙のぽんぽこ仮面が超かわいい。(中の人はアレだけど)アルパカ顔(っていうかアルパカそのもの)の人が小和田くんかと思っていたら、彼は5代目で、おそらく小和田君は一番奥のシルエット・・・?というくらいの主人公です。小和田くんの、「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」に何が書いてあるのか、気になっていたのですが、わからないまま終わって残念・・・。
ぽんぽこ仮面を追う謎の組織。探偵たち。狙われる小和田くん。でも、昼寝に余念がない小和田君。疲れ果てたぽんぽこ仮面。がんばれ、ぽんぽこ仮面!もう、ぽんぽこ仮面に手を差し出されたら、握っちゃうなあ。(中の人は・・・以下略)私、実際のところおせっかいは嫌いなんですが・・・。そして、ぽんぽこ仮面のように、面倒なことに首を突っ込みまくってる人は理解しがたいのですが・・・。後半、ズタボロになったぽんぽこ仮面が現れたときは、応援しましたとも!(中の・・・以下略)
物語の大半をぐうぐう寝て過ごした小和田くんも、後半には大活躍です。彼といいコンビ?の玉川さんは、「宵山万華鏡」に出てきたお姉ちゃんの方かな?八兵衛明神も出てきてたような・・・。でも、あの描写読んだ覚えがあるんだよねー。タヌキとお酒といえば「有頂天家族」で出てきた偽電気ブランに似たテングブランなるお酒もでてきます。私のイメージではブランデーのようなお酒なんですが・・・。どんな味なんだろう・・・。あまりにも美味しそうなので、想像がどんどん膨らみます。笑。
最後はめくるめく宵山不思議ワールドに迷い込みました。土曜倶楽部、日曜倶楽部、月曜倶楽部・・・のくだりはなんのこっちゃって感じでした。最後はみんながぽんぽこ仮面になって何が何やら。笑。これで我らがぽんぽこ仮面も安心して京都を発つことができるでしょう!
それにしても、森見さんは祇園祭が本当に好きなんですね~。
探偵さんの「やぷー」が流行らないかなあ。自分で使い始める勇気はない!


「我らが内なる怠け者に」


「リバーサイド・チルドレン」

梓崎優/東京創元社

カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦難の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは?

寡作の梓崎さんの新作、楽しみにしていました。
「叫びと祈り」も異国が舞台でしたが、こちらも舞台はカンボジア。主人公は日本人少年のミサキ。彼は何ヶ月か前まで日本で暮らしていたが、父親によってブローカー売られそうになり、逃亡。そのままストリートチルドレンとなった。彼らは、廃棄物の山の中からゴミを拾い、業者に引き取ってもらうことで日々の糧を得ていた。しかし、ある日仲間が死体となって発見される。殺したのは警官。だけど、ストリートチルドレンは人ではないから、殺したって罪にはならない。そんな中、今度は別グループのストリートチルドレンが殺される・・・。
唐突に助け舟が出てくるあたり、どうなんだろう?と思いましたが・・・。自力じゃないじゃん!あの旅人は「叫びと祈り」に登場した旅人?記憶が・・・あいまい・・・。
人身売買や売春、子供を道具として扱うかのような待遇。再婚するからって、父親が自分の子供を売るか?と思いましたが、あるんでしょうね・・・。貧富の差が激しく、教育が行き届いていないことによる問題。子供を守るべき大人が、子供を金儲けの道具に使うこと。大人を信用しない子供。発展途上国の問題を浮き彫りにした話でした。
あとは、ミステリー部分。最初に殺された子供は、警官が射殺したのだけど、その後はどうやら別の人間によって殺害されたようだ・・・。ということで、犯人を捜すことにしたミサキ。大人の目をかいくぐりながら捜査を進める。ところどころ、気を失ったり、幻想的な描写があるあたり梓崎さんのカラーだなあと思いました。結果的に、人間であることを証明するために殺したっていうのは、何だかピンときませんでした。すいません・・・。
事件は解決しても、ミサキたちはゴミを拾って生きていかなければならないし、急に回りの大人を信用することもできない。ただ、ほんの少し、自分の中の何かが変わった。そんな現実的な物語の幕引きが、梓崎さんが、このテーマをミステリーのエッセンスとして書いたのではないということを物語っていると思います。良い終わり方でした。


「奇想博物館」

/光文社

「驚愕遊園地」の姉妹版のようなものがあるなあと思って、読んでみました。
「小さな兵隊」(伊坂幸太郎)これは「残り全部バケーション」の岡田くんの話ではないですか。単体で読んでも、意味はわかるけど、おもしろさは半減って感じですね。
「玩具店の英雄」(石持浅海)これも何かのシリーズものの一部かな。最近石持さんの本読んでないなーと思った。なんか、過激なやつを出したと聞いてから手がのびない・・・。
「漆黒」(乾ルカ)うーん、変態・・・。笑。生理的にダメなイメージがさらに強まりました。人それぞれフェチってあるけど、性別をどんでん返しに使う意味があったんですかね?どっちにしろ変態でしょ。
「区立花園公園」(大沢在昌)あまり印象に残ってないです。新宿鮫のなんかですかね・・・?
「黒い手帳」(北村薫)学生のとき、嫌いだった先生。その先生からもらった句集をほったらかしにしていた私。ある日、先生がやってきて、句集の感想を求められる・・・。読んでないですすいません。どこにやったかもわかりません。って言えない雰囲気。シリアルナンバーで誰にどの本が渡ったかわかるとか、こういうねちっこい性質の人は嫌いだ。
「常習犯」(今野敏)テレビで見たことがあるような気がする・・・と思ってたら、やっぱりそうだった。栄倉さんが出てたやつだ。空き巣にはクセがあったり、通り名があったりするのねーと思いながら見てたような。
「国会図書館のボルト」(坂木司)・・・よりによって、一番好みでない短編。残念。
「遠い夏の記憶」(朱川湊人)ミステリーというよりは怪談のようなお話。家族を救いたい気持ちもわかるけど、同じ年頃の男の子の身代わりをたてるっていうのは残酷すぎる。
「親子ごっこ」(長岡弘樹)犯罪者の子供はやはり犯罪者になってしまうのか?最初は気分の良くない話だなーと思っていたけど、子供の真意(偽札かどうか確かめたかった)が分かって良かった。かしこいねえ。お母さんの勤め先も関係あったんだなー。最後はハッピーエンドで良かった。
「シンリガクの実験」(深水黎一郎)学校内で人心掌握術を試す主人公。そこへ、1人の転校生がやってくる・・・。これは・・・ミステリーではなくラブストーリーではないか!こんな子供、かわいくない・・・。
「初仕事はゴムの味」(誉田哲也)刑事モノとは違う、超能力シリーズです。超能力検定っておもしろそう~。念写とかやってみたい~。と設定はおもしろかったのですが、謎の方はいまいち・・・。浮気や風俗といった生身の女性相手の心配・・・妊娠とか性病とか・・・はないですけど、自分の旦那が毎晩せっせとダッ○ワイフのもとに通ってるっていうのも複雑ですよねえ・・・。
「暗がりの子供」(道尾秀介)結論的にはいい話だったのかな。道尾さんも最近読んでないなー。このテイストもあまり好きではなかった・・・。
「長井優介へ」(湊かなえ)タイムカプセル。自分を教室に閉じ込めたのは、親友の裏切り。昔家庭教師がくれた青酸カリ。どちらも勘違いでした!という肩透かしな終わり方。教室はね、ちゃんと確かめてからカギを閉めようね!
「野槌の墓」(宮部みゆき)便利屋のシリーズ?これは読んだことがないのですが・・・。時代モノです。悪い妖怪になりそうな仲間を退治してくれという、妖怪からの依頼を受け・・・。あんまりおもしろくなかったなー。
「ただ一人の幻影」(森村誠一)森村さんの本は読んだことないんです。なんか・・・、ミステリーというより、女の人の幻を追い掛け回してるだけでは・・・。おじさんが好きそうなシチュエーションだなーという印象しかないや。